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01-9.
ジェイドがレオナルドに抱いている愛が正しいのだということを証明する。と、書かれた手紙には狂気的な愛情が見え隠れていた。
「……確信はないけど」
アルフレッドは涙を拭いながら顔をあげる。
「親しくしている同級生がいるって」
泣いているだけでは仕方がないと思ったのだろうか。
それとも、レオナルドの死を受け入れられなかったのだろうか。
「子爵家の人だって言ってた。レオ兄さんは珍しく気に入っているみたいだった。常識はないけど、一緒にいると飽きない友人だって……」
アルフレッドはクッションを抱き締めながら立ち上がる。
それから、しっかりとした足取りでセドリックの元に歩いていく。
「俺、聞いてみるよ」
「……危険だってわかっているのかい?」
「わかってる。でも、レオ兄さんになにが起きたのか知っているかもしれない」
事件には第三者が関わっている可能性がある。
ジェイドから送られてきた手紙には第三者を害する可能性が明言されていた。それに対して、レオナルドがどのような対応をしたのかわからないものの、結局、部屋に連れ込まれるような関係を保つしかなかったのだろう。
……子爵家の友人か。
聞いたことはなかった。
……真相を明らかにしなければ。
そうすれば、侯爵家に天罰が下ることだろう。
セドリックはそう信じていた。
* * *
目が覚める。
セドリックは冷や汗を拭いながら、上半身を起こす。
……またあの夢だ。
夢の中の自分自身と違う手を握りしめる。まだ幼さが残った手だ。
……あれは警告だ。
ただの悪夢であるはずがない。
根拠のない確信だった。
「……大丈夫。アレは、ただの夢だ」
夢の中ではセドリックは成人をしていた。
しかし、現実ではまだ十二歳である。
悪夢が現実になるまでには時間がある。その時間を有効に使うことができれば、悪夢はただの夢になることだろう。
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