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二人目のレント:違和感しかない
「いや、全然違和感なくて……お前だって気付かなかった」
もちろん髪型や服装もあるだろうが、しかしそれだけではない。今日のセファは、『彼』を包み込む雰囲気そのものが、もう女の子でしかないのだ。
俺と目が合うと、セファが顔を赤らめながら、表情を少し崩す。
「そう、よかった」
「良かったって……『ミス』コンテストにでも出るつもりか」
「ふふふ、違うよ。自分に、素直になろうと思って」
「ちょ、お前、女装が趣味だったのか?」
思わずそう聞いてしまったが、言葉にネガティブなニュアンスが乗っていたような気がして、少し後悔する。
「『趣味』じゃないよ」
しかしセファはそれを気にする様子もなく、口元に浮かべた軽い笑みを消すことなく、そう答えた。
――じゃあ『本業』か?
思わず突っ込みそうになったその言葉を、すんでのところで飲みこむ。
「いや、別にそういうの、自由だと思うんだが、ごめん、いきなりでびっくりした」
「いいよ、ほんと、いきなりだから、仕方ないよ。それよりレント、座らないの?」
不思議そうに言ったセファのその言葉に、自分がトレーを持ってつっ立ったままセファの顔を食い入るように見つめていたことに気が付いた。
「お、おう」
俺は慌ててトレーをテーブルの上に置き、がしゃがしゃと音を立てながら席に着く。
それを見届けると、セファは目の前に置かれていた小さめのバスケットをおもむろに開け、中に入っていたサンドイッチを取り出し、「はい」と言って俺の方へと差し出した。
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