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二人目のレント:突然の告白
『ボクの部屋に、来ないかな』
銃声のような一言が、リップが塗られたセファの唇から発せられた。
「テ、テストが近いのに、大丈夫なのか」
それだけを答えると、俺はそのセファの言葉への返事がそれ以上できない言い訳にするため、カルボナーラを掻き込む手を加速させる。
口の中に、残りの全てを放り込み、しばらく咀嚼を繰り返した。ゆっくり、念入りにパスタを噛み続けるが、俺を覗き込むようなセファの視線は、一向に俺から外れようとはしない。
「一緒に勉強するんじゃないの?」
「あ、ああ、そうか」
「変なの」
セファがそう言って、妖しく微笑んだ。
ランチタイムもどんどん過ぎていく。一組、また一組と学生食堂を後にしていく連中を視界の端に見ながら、俺は口の中に残っていた最後の足掻きの欠片を飲み込んだ。
結局……拒否する理由が見つからない。
「な、なあ、セファ」
「なに?」
「その、お前は、自分をどう思ってるんだ?」
「どうって?」
「その、『女』と思ってるのか、それとも『男』と思っているのか」
直球過ぎる……そうは思うのだが、他にいい言葉がなかった。
しかしその質問に、これまで涼しい顔で俺を圧迫し続けていたセファの表情が、一気に狼狽したものへと変わる。
「え? え? ボ、ボク?」
「あ、ああ。そういう格好をするってことは、そうなのかなって」
「えっと、えっと、そ、そうだね。お、女の子。ボク、実は心が女の子、だったんだよ」
そしてセファは明らかに、反応を探るような様子で俺を見つめた。告白をした後のチェリーボーイのように。
いや、確かに『告白』ではあったが……そんなことは、初耳だ。
しばらくの間、二人の間に無音が流れていった。
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