19 / 50

二人目のレント:誤解、なのだろうか

「そんなことより、トウヤ、あれ見えるか?」  図書館前の銅像を指さし、トウヤにそう尋ねる。 「ん? ホモ像がどないしたんや。お前さんらの先輩やで」  こいつはほんとに遠慮も容赦もない。俺の指さす先を見て、トウヤがまたニヤニヤと笑った。 「違うっての。ほら、何かノイズが入っているみたいに、線がギザギザになってるのが見えるだろ」  その言葉に、トウヤはしばらくの間じっと銅像を見つめていたが、それに飽きたかのように俺の方へと振り返った。 「いや、そんなもん見えへんで。お前、熱でもあるんとちゃうか。まあ、そんな別嬪さんの横におれば、しゃーないか」  更にいやらしい笑いを俺に向ける。 「馬鹿言うなよ。ほら、あれだよ、見えるだろ? ビビッて、なってるだろ」 「んー、わからんわ。普通にしか見えん。とりあえず、デートが終わったら眼科行ってこい。ワシはもういくで」  そう言うとトウヤはまた「熱いわぁ、熱いわぁ」と言いながら、正門の方へと急ぎ足で去っていった。 「あいつ、絶対誤解したぞ」  トウヤの姿が見えなくなるのを確認した後、俺はセファにそう詰め寄ってみる。 「誤解? 何を?」  セファが俺に顔を寄せてそう尋ねたが、二人の肩と肩が触れた後、セファはくっついたまま離れようとはしなかった。

ともだちにシェアしよう!