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四人目のレント:その想いは、どこから
――なぜ、なぜなのだろう。セファは、俺を拒否したのではなかったのか……
頭の中で、その答えを探してみるが、一向に見つかりそうにない。
と、セファの口がゆっくりと開かれる。何かを待っているように。
俺の頭はセファの手でしっかりと抱えられている。決して離さないといわんばかりの強さ。
俺は少し前かがみになり、セファの方に倒れてしまわないようにするために、セファを抱きしめた。
セファの少し開いた口から、吐息が漏れる。
熱い吐息。誘う吐息。
その誘惑に耐えられなくなって、俺はセファの中へと舌を入れた。
それを待っていたかのように、セファの舌が絡みついてくる。愛おしそうに、狂おしいほどに、舌に付いた唾液の全てを吸いつくそうという様に、セファの舌が俺の口の中で蠢いた。
「レント……」
時折、セファの口から俺の名前が漏れる。その度に、セファの手に力が入った。
どれくらい、そうしていただろうか。
ふと、まるで息継ぎをするように、セファが少しだけ唇を離した。鼻と鼻が触れあう距離で、セファが俺をじっと見つめる。
黄味がかったセファの瞳はまだ乾くことなく潤んでいる。少し長めの睫毛も涙で濡れていて、その涙は俺の鼻先や頬も濡らしていたが、それがセファの体からあふれ出たものだと思うと、それさえも愛おしい。
その思いに、自分自身、まだ戸惑うことしかできないでいた。
セファの吐息が俺の口元にかかる。
「ねえ、レント」
「な、何だ」
「本当に、ボクが欲しい?」
「あ、いや……」
「言って。本当のことを、言って」
眼差しが、何かに渇き何かを求め、俺の眼を射るように向けられていた。
「そ、その、今まで、セファをそんな風に見てたわけじゃない。でも、今は、その……そう、思ってる」
「そうって? ちゃんと言って。ボクに聞こえるように、もう一度、ちゃんと」
俺の心の中にセファへのある想いが確かに存在している。幻でも錯覚でも無いこの想い。
「セファが、欲しいんだ」
セファの瞳をじっと見つめる。すると、セファの瞳からまた涙が零れ落ちた。セファが、泣き顔のまま俺に抱き着く。
「うれしい、うれしいよ、レント。ボクを……ボクをキミのものにして」
セファはそう言うと、何度も何度も俺の頬に、自分の頬や鼻、そして額をこすりつけた。
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