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第二章・5
外観は奇抜だが、内装は現代的な心地よい雰囲気を持っていた。
「お疲れでしょう。バスをどうぞ」
「はい。いただきます」
バスタブにはすでに温かな湯が張ってあり、シャワーを浴びた悠希はそこへ身を沈めた。
「勝手なことして、お父様は怒ってるかなぁ」
しかし、すでにこうして貴士の邸宅でくつろいでいるのだ。
電車は、走り出してしまったのだ。
目的地は、結婚。
「婚約まで至った方が、過去に何人かいらっしゃる、って聞いたけど」
だが、そのどれもが破棄されている。
「僕、大丈夫かな」
何だか、不安になってくる。
その不安を吹き飛ばすように、悠希はざぶりと湯で顔を洗った。
そこへ、使用人の声が脱衣所から聞こえて来た。
「パジャマをこちらへ、置いておきます」
「え、でも」
「何か?」
「この後、貴士さんのところへ行くことになっているはずですが」
「パジャマで結構、ということです」
はて。
パジャマで当主に会いに行くとは。
「貴士さん、意外にラフなところがあるのかも」
バスから上がった悠希は、パジャマを身に着け、ガウンを羽織った。
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