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第三章・2
ひどく乾いた、喉。
貴士は、砂漠にさまよっていた。
「先だっては雪原で、今度は砂漠か」
我ながら、壮大な夢を見る。
しかし、この喉の渇きは厄介だ。
「早く目を覚まして、水を飲まなくては」
そこへ、グラスに入った清水が差し出された。
「どうぞ。お水です」
「ん?」
この声は。
「悠希。なぜ君がここに?」
夢の中の悠希は、心配そうな表情だ。
(いや、だが……)
何か、思い出せそうな気がする。
しかし、そこで目が覚めてしまった。
目が覚めた貴士は、水を飲むことも忘れてしばらく考えていた。
「水を差しだす、悠希。確か、どこかで……」
寝起きの頭では、うまく思い出せない。
貴士は起き出し、ベッドサイドの水差しから清水を一口飲んだ。
「朝食の席で、悠希に尋ねてみよう」
過去に、二人の間に何があったのか。
再び横になった貴士だが、なかなか寝付けなかった。
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