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第三章・3
白磁の美しい食器に盛られた、彩り美しい朝食を前に、悠希は困惑していた。
「君は過去、私と会ったことがある、と言ったね。話してくれないか」
顔を合わせてすぐに、貴士がそう切り出したのだ。
朝の挨拶もせずに。
「あ、あの……」
「うん」
「おはようございます……」
「ああ、これは失敬。おはよう。で? 私は君と、どこで出会った?」
これはもう、話さないと永遠にこの席から立たせてくれない勢いだ。
(貴士さんの不名誉だから、話したくはないんだけどな)
仕方なく悠希は、貴士に出会った時のことを語り始めた。
「確か、数年前のことだったと思います。僕はお父様に連れられて、初めて夜会に出席しました」
「うん」
「そこで、貴士さんにお会いしたんです」
「それだけか?」
そこで悠希は、話しにくそうに口ごもった。
「どうしても、話さなければいけませんか?」
「聞きたいな」
では、と悠希は諦めて話を続けた。
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