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第三章・7
さて、どうやって諦めさせようか。
「悠希。君は……」
「貴士さんのことを想うと、心配で心配で」
「何?」
「また、お体の調子を悪くしてらっしゃるんじゃないか、とか思ってしまって」
「いや、私は」
「ちゃんとお食事は摂ってらっしゃるかな、とか考えてしまって」
何てことだ!
貴士は思わず、笑ってしまった。
「貴士さん?」
「いや、失礼。私の思い上がりだったようだ」
この一回り年下の少年に、まさか庇護欲を抱かれていようとは!
「君はやはり、ユニークだよ」
おもしろい。
彼はこれまで、私の周りにいなかったタイプだ。
「いいだろう。少しの間、様子を見よう」
共に暮らして、波長が合えば、正式に婚約だ。
貴士はそう、悠希に約束した。
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