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第三章・8
自室に戻った悠希は、弾む胸を落ち着かせていた。
「しばらく、ここで」
貴士さんと一緒に、暮らせるんだ!
嬉しい反面、不安もある。
『共に暮らして、波長が合えば、正式に婚約だ』
貴士の言葉が、引っかかる。
「波長が合わなければ破談、ってことだよね」
僕、大丈夫かな。
貴士さんとうまく、やっていけるかな。
「くよくよ考えても、仕方がない!」
できるだけ貴士さんの喜ぶことを、しよう。
彼の喜ぶ顔が、見たいんだ。
氷の貴公子と呼ばれる、竜造寺 貴士。
「今朝は、その笑顔が見られたんだから。幸先はいいはず」
悠希は胸に灯る恋心を、大切に育て始めた。
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