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第四章・2
「そうは申されましても」
「勝手なことをしては、わたくし共がお叱りを受けます」
それには悠希が首を横に振った。
「皆さんには、ご迷惑はおかけしません。僕が、勝手に作るんですから」
確かに、手出しをすれば同罪だが、キッチンを悠希が使用する分には問題ないだろう。
「では。こちらが貴士さまの、お弁当箱です」
「ごく稀に、わたくし共が作らせていただくことがありますので」
黒塗りに金箔螺鈿の施された、美麗な重箱だ。
「すごい。貴士さんのお弁当箱、なんて綺麗なんだろう」
これに負けない、立派なお弁当を作って見せる!
悠希は、わくわくとフリッジを開けた。
「卵に、お野菜に、お肉。そうだ、デザートもいるよね」
心配しながら彼の様子をうかがっていたシェフたちだったが、その手際の良さに驚いた。
下茹では時間がかかるので、レンジで済ませる。
レタスは氷水で、パリッと活き返らせる。
揚げ物は、菜箸で油の温度を推し量る。
「手慣れてらっしゃる」
「お料理に長けていらっしゃる」
鼻歌交じりでテキパキと調理を進める悠希に、一同は感心していた。
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