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第五章・初めて

 パジャマのボタンが、外されていく。  キスを一つするたびに、外されていく。  悠希は、貴士の寝室にいた。  大きなベッドに、横たわっていた。  胸の鼓動が、自分に聞こえるくらい早く打っている。  しかしそれは、期待よりも恐怖の方が勝っていた。  貴士は、優しく振舞ってくれる。  それでも未知の行為は、悠希にとって恐ろしかった。 「美しい」  やがて素裸になった悠希を、貴士は見下ろした。 「とても美しいよ、悠希」 「は、恥ずかしいです……」  横になり、身を縮めて顔をそむける仕草も、初々しい。 「君、もしかして。こういう行為は初めてか?」 「はい……」  消え入りそうな声。  貴士はその白い滑らかな肩に、静かに口づけた。  腕をさすり、首筋を吸い、鎖骨を食んだ。 「……っ。く、ぅう……」  必死で声を殺す悠希が、可愛い。  貴士は、その小さな口に自分の指を入れた。

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