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第五章・5
涙をにじませ、悠希は貴士に謝っていた。
「ごめんなさい。ごめんなさい、貴士さん」
「謝ることはない。男なら、当然の現象だ」
逆に、君が射精しなかったら、私は自信を無くしていた。
貴士は耳元で、柔らかな響きでささやいてくれた。
悠希の精は流れ落ち、接合部を潤している。
ローションと混ざり合い、滑りをさらに良くしていた。
「では、いくよ」
ぐん、と腰を退き、貴士は抽挿を始めた。
「あ、はぁッ! あぁ、あぁ、あぁあ!」
何、これ。
体の中、擦られて。
気持ちいいところに、いっぱい当たって。
「や、やぁッ! い、いけません、貴士さん! 僕、僕、んぁああ!」
「いいんだ、悠希。私に、全て任せて」
恥ずかしい。
でも、気持ちいい。
せめて、はしたない声を抑えようと、悠希は自分の指を噛んだ。
「ん、んぅ。はぅ、ふぅ、んんぅう!」
そんな悠希の手を、貴士はそっと握った。
「恥ずかしいことじゃない。素直になりなさい」
「す、素直に」
「そう。声が出るのも、自然なことだ」
聞かせてくれ。
「そうすれば、私も安心する」
貴士の優しい言葉に、悠希はおずおずと指から歯を離した。
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