36 / 90

第五章・6

 何もかもが初めての悠希に、貴士は穏やかなセックスを心掛けた。  優しく、ゆっくり、ていねいに。  薄く積もった新雪を、土足で踏みにじるような真似は、しなかった。 「悠希、苦しくないか?」 「あ、はぁ、はぁ。あぁ。う、うぅ。んんあぁ……!」  体からは余計な力が抜け、わずかだが腰が浮いている。 (楽しんでくれているようだな)  良かった。  腰を震わせ、最奥まで貫いた。 「出すぞ、悠希」 「あ! っく、あぁあ! は、はぁ、あぁああ!」  熱い。  すごい勢いで、僕のお腹の中に! 「うぅうう! はぁ、あ!」  やだ。  体が、勝手に……!  貴士に続いて、悠希もまた勢いよく精を吐いていた。  体は引き攣り、がくがくと震える。  そんな火照った頬に、貴士の触れた手は冷たく心地よかった。  やがて痙攣の治まった悠希から、静かに貴士は去った。  体を傷つけないよう、そっと引き抜いた。 「どうだったかな。初めての心地は」 「はぁ、はぁ、あぁ……」  水から出された魚のように、苦し気に荒い呼吸をする悠希に、貴士は口移しで水を与えた。 「ん、む。んん、う、ふぅ……」 「大丈夫か」 「は、はい。ありがとうございます」  落ち着いた悠希が気付くと、自然と貴士の手を握っていた。

ともだちにシェアしよう!