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第六章・4

 一人の朝食を終え、悠希は傍に控えている先ほどの使用人に声を掛けた。 「あの、えっと……」 「辻(つじ)とお呼びください」 「では、辻さん。この後、僕は髪を整えたいと思うのですが」  悠希は、バスで考えていた。  貴士さんのパートナーになるには、彼にふさわしく自分を磨かねばならない、と。  まずは、この少し伸びた髪をカットしたい。 「かしこまりました。ヘアーサロンの予約をいたします」 「お願いします」  ダイニングから、悠希は自分に与えられた部屋へ戻った。  出かける準備を、しなくてはならない。  クローゼットを開けると、そこには良い匂いのする高価な衣類がずらりと並んでいる。  試しにジャケットを羽織ってみると、あつらえたようにぴったりだ。 「貴士さん、僕のためにこれを?」  はあぁ、と悠希は両手で頬を挟んだ。 「……すっごく、嬉しい」  どこへ出ても恥ずかしくないようなスーツから、カジュアルなデニムまで揃っている。 「これって、貴士さんから僕へのプレゼント、だよね」  ありがとう、貴士さん。  新しいシャツに腕を通し、悠希は張り切ってサロンへ出かけた。

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