46 / 90
第七章 貴士の変化
屋敷のポーチで帰宅した貴士を出迎えた悠希は、まずお礼を述べた。
「貴士さん、お帰りなさい。たくさんのお洋服を、ありがとうございます」
「気づいたのか。君の好みに合えば良かったが」
「さっそく、着させてもらってます」
それより、と貴士は目を細めた。
「見違えたな。ずいぶん垢抜けたものだ」
「気づいてくださいましたか?」
髪を整えた悠希は、さらに輝いて見える。
「とても、似合っている」
「ありがとうございます!」
嬉しい悠希に、貴士は優美なクリスタルのオブジェを手渡した。
今日のゴルフコンペで獲得した、優勝のトロフィーだ。
「君の部屋にでも、飾るといい」
「え、でも」
「私には、無用なものだ」
きっと貴士は、こんなトロフィーなど貰い飽きているのだろう。
惜しげもなく悠希にプレゼントすると、さっさと屋敷に入って行く。
悠希は、慌ててその後を追った。
「あの。これからお時間いただけますか? お見せしたいものが、あるんですけど」
「シャワーの後なら、お茶を飲みながら見よう」
「はい。ティールームでよろしいですか?」
「私の部屋へ。そこで、一緒にティータイムだ」
大股で歩く貴士には、もうついて行けない。
立ち止まるしかない悠希だったが、お茶の時間という楽しみができた。
「クリスタルまでもらっちゃった!」
胸に抱きしめ、その時を楽しみに待った。
ロード中
ロード中
ともだちにシェアしよう!