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第八章 熟れゆく愛

 夜も更け、悠希は貴士の寝室でベッドにちょこんと座っていた。  そんな彼に、貴士はウェットティッシュを一枚差し出した。 「軽く練習してみよう」 「練習、ですか?」  はて。  何の練習だろう? 「これで、私の性器を拭いてみなさい」 「え!?」  驚く悠希に、貴士は笑った。 「言っただろう。慣れたら、君がその手で私を慰めてくれる時も来るだろう、と」  その、練習だ。  悠希はおずおずとティッシュを受け取り、それでも前を向いた。 「僕、今からでも。口ででも、貴士さんを慰めます」 「そうか? ならば、口でしてもらおうか」  パジャマをはだけ、むき出しになった貴士のものに、悠希は顔を近づけていった。  緊張する。  恥ずかしい。  そして、怖い。  そんな悠希の頬を、貴士の大きな手のひらがそっと包んだ。 「やはり、まずは練習からだ。この勢いで、嚙まれたりしたら大変だ」 「ご、ごめんなさい」  悠希は貴士の好意を素直に受け取り、ウェットティッシュを持ち直した。

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