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第八章・3

 悠希に触れられているうちに、貴士のペニスはすっかり勃ちあがった。  愛撫の刺激ももちろんだが、悠希の真剣な様子もまた、貴士を昂らせていた。 「まるで職人だな。熱心なのはいいが、これでは夜が明けてしまう」  もう、いいよ。  貴士は、悠希の手を取った。 「おかげで、こんなに元気になった」 「あの、貴士さん。その……」 「ぅん?」 「気持ちよかった、ですか?」  それには、まず口づけで応えた貴士だ。 (何て可愛らしいことを言う)  抱きたい。  今すぐに、彼を。 「ああ。とても感じたよ」 「良かった!」  無邪気に喜ぶ悠希を、貴士はそっとベッドに横たえた。 「では、今度は私からお返しをしよう」  どくん、と悠希の胸は鳴った。  ああ、また。  また僕は、僕じゃなくなってしまうんだ。 「表情が固いな。リラックスして」 「心を、ですね」 「そうだ」  体中に、貴士が唇を落としていく。  ふつふつと湧き上がる興奮に、快感に、悠希は瞼を閉じ耐えた。

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