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第八章・7
まだ性交に慣れていない悠希の体を、貴士は加減して抱いていた。
大きなストライドや激しい腰突きは避け、細かく動いていた。
ただ、その動きは速い。
中ほどまで挿れたペニスの硬い先端で、奥深くを小突く。
「んぁッ! あっ、あッ、はぁッ!」
「気持ちいいか? ん?」
「ふぅ、あぁ! ひ、くぅッ、う。あぁっ、あぁッ!」
技巧を凝らした貴士の責めに、悠希はすっかり飛んでいた。
何度も、何度でも精を吐いた。
だが、貴士はまだ一度も射精しない。
子種を、放ってくれないのだ。
「た、貴士さん」
「何だ、悠希」
「ください、僕の、お腹の中に!」
「はて。何をあげればいいのかな?」
「やだ、もう。あ、そこ、ダメッ!」
背を反らし、腰を震わせる悠希に、貴士は押し寄せてくる止められない波を感じた。
「悠希、出すぞ」
「……ッ! あぁ、ああ!」
熱い貴士の精が、悠希の体内にほとばしった。
「う、ふぅ、う! た、貴士、さん……ッ!」
「悠希……」
二人でぴったりと体を合わせて、震えた。
この世で二人の愛の果てを、味わった。
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