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第九章・3

「お父様。僕は、自分の意志で貴士さんとの結婚を望んでいるんです」 「御家のために、富豪に嫁ごうと思ったんだろうが。お前は、経営の心配なんかしなくてもいいんだよ」  そこに、貴士が割って入った。 「九曜さん。お言葉ですが、わたくしの融資無しに、どうやって今の経営を立て直すおつもりですか?」 「いくつか、弊社を傘下に収めてももいい、とおっしゃる事業者がいらっしゃいます」  傘下、と聞いて貴士も悠希も目を見開いた。  創業100年を越える老舗が、看板を下ろす!? 「お父様、考え直してください。ここは、貴士さんにお任せしましょう!」 「わたくしが提供するのは、資金のみ。九曜さんの会社は今まで通り、独立して事業を!」  だが、丈明は頑固に唇をへの字に曲げたままだ。 「残念ですが、竜造寺さんからの資金援助は受けられません」 「なぜ、そこまで意固地になられるのですか」 「繰り返しますが、あなたをビジネスパートナーとして信用できないからです」  そこまで言われては、貴士も気分を害した。  この国屈指の名門を相手に、信用できないとは!?  

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