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第3話

 同時にベッドに倒れ込んだ。 悪戯に互いの舌先を追うように捕まえたり絡めたり激しく口内を犯すとどちらともいえない息が漏れる。    「…はぁ……っん……ッ」 ヌルっと唇を離すと典登の輪郭に沿ってキスをしながら耳朶(みみたぶ)を甘噛をする。  「あっ……!」 ビクッと反応した身体から力が抜けて目を潤ませた典登が愛おしくて表情を伺いながら執拗(しつよう)に耳を責める。  「…ちょ、……なんっで…そこばっか」  『欲求不満みたいだからじっくり味わってあげようと思って』  「…やだ…っ。他も触って欲しい……」  何だか今夜はいつもに増して官能的な典登を少し不思議に思いながらも熱くなっていく身体は正直で、プチプチとボタンを外して露わになった肌と肌が重なると紘巳も余裕を無くしていく。 ゆっくりと首筋から喉仏を通過して徐々に唇を下ろす。  「ッ……ん…ぅ」 漏れる声と共に典登が身体をくねらせるとフワッと香りが舞って鼻から脳に伝わりピタリと動きを止めた紘巳。  「はぁ……紘巳…?」  『…………イランイランか』  「気付いた?少し調香したけどね。さっきお風呂入ってる時に仕込んだ」  『店から持って帰ったのか?』  「だって、まず売る本人達が効果を試さないとじゃない?」 自身の身体やシーツに染み込ませたオイルの香りが求めて合う二人の周りを囲むように広がっている。  イランイラン。性欲を高揚させて官能的な気分にさせる催淫作用を持つ。いわゆる媚薬に使われるオイルとも言われている。  「……ふふ。さすがだね、すぐ気づいた」  『何だ。そんなに乱れたいのか?』 そう言って勢いよくズルっとズボンを脱がして下着の上からすでに大きくなったソレを形に沿って撫でるように掴む。  「あっ……んッ!!」  声を高らかに上げた典登のソレは下着の中で苦しそうにしている。分かっているが焦らすように布の上からしか触れない紘巳。 乳首をぺろっと舐めたり吸い付いたりしながら意地悪に愛撫する。  「はぁ……ねぇ…早くっ…触って」 堪らずおねだりの言葉を発した典登。 その言葉を待っていたかの様に下着に手を入れ硬くなったソレを(じか)に触れると手を上下に素早く動かす。 先走った透明な液が先っぽからたらりと紘巳の右手を濡らした。艶かしい声が次第に早くなっていく。  『典登……気持ちよくなってきたな」  「んんッ……あっ、そんなに……あッ!あんっ、…やっ、ハァ……もうやばいかも」  『イッていいぞ』    手の動きを早める紘巳の両腕をぎゅっと握って耐えている。じんわりと汗が身体を湿らせると香りはより強く放たれて何も考えられなくなる。  「あッ、あん…、むっむり……イクッ!」 身体を仰け反ってドクンと白濁を自身のお腹に出した。ハァハァと遠い目をしながら肩で息をしている典登にチュッとキスをした。  「……紘巳ごめん、試したりして」  『何で謝るんだよ』  「結局、自分だけ気持ち良くなって……でも紘巳には効かなかったみたい」 横に向いた典登の顎を掴んで真っ直ぐ瞳を合わせる紘巳。  『誰か効かなかったって?』  「えっ……」 紘巳自身のソレも我慢の限界と言わんばかりに膨れあがり、イッたばかりの典登の身体にスリスリとあてがうと二人の身体は再び欲情し始める。  『誰のせいでこんな。まだまだ夜中まで付き合ってもらうぞ』  「……んっ、……紘巳…好き」  『俺も…ッ…はぁ、典登…愛してる』  疲れた身体にこそオイルは効果が現れる。 それを身をもって知ったのは日付を超えた深夜の事で二人は香りの魔法にかかったまま抱き合って眠りについた。  オイルの効果か否か……取り扱いには注意。

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