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第33話 C-02 西名×琉加 ④

 「准!」  「おっ廉!久しぶりじゃん」  カウンターから手を上げたのは中学からの友人でバーテンダーの矢代准(やしろじゅん)。クリニックから近い距離にお店がある事もあって、仕事帰りこのバーに寄る事も多い。今日はこのまま帰りたくなくて誰かと話していたくってふらっと訪れた。  「最近来なかったけど忙しいの?今日もこんな時間まで仕事か?」  「うん、まぁね」  「やっぱ院長って大変なんだな。顔が疲れ切ってんじゃん」  見た目は茶髪パーマで肌も黒くていかにも遊び人な風貌の彼は今でも一番気を許せる奴。 中学時代からヤンチャの部類にいた彼だが何故か気が合いよく一緒にいた。高校は別々になったがそれでもよく連絡をとり遊んでいた。 家族から放置された彼と家族に縛られていた真逆の僕等は意外にも親友になった。  「何飲む?」  「うーん、いっぱい酔えるやつかな」  「なんだよ今日は悩み相談に来たか?」  「えっ?」  「酔いたいって事はそうゆう事だろ?ふっ、まぁいいや、付き合ってやる」  手際よくお酒を作りながら耳だけこちらに傾けて話していく。聞き上手で話上手な彼は水商売に向いている。昔からの友人でなくても通いたくなるバーだ。  「いらっしゃいませ!あっ、ちょっと待って」  店内に入ってきた一人の女性が少し離れたカウンターに座った。話し途中でスッとそちらへ行き接客を始めた。何だか笑顔で話が盛り上がり始めた准と客の女性。  「廉こっち来て」  「えっ?」  そう言われ手招きされてグラスを持って席を立つと入店したばかりの女性が肘をついたまま、目線だけこちらに向けた。黒のワンピースでショートカットで大きなピアスがキラリと光る。  「准、何?」  「えっ!、、西名くん!?」  「……そうだけど」  「私、川窪!2年と3年同じクラスだった川窪真衣(かわくぼまい)!」  「川窪、、さん?」  名前の記憶を辿ってみる。彼女の記憶はほとんどない。彼女を表すなら"クラスで一番賢い子"だ。眼鏡をかけて一番前の席だった。誰もやりたがらないクラス委員を率先してか又は押し付けられか知らないがやっていたような気がする。  「すぐ近くのお店で友人と飲んでたんだけど終電逃して、朝までやってる店探してたらここがあって初めて来たの。でもホント偶然!まさか矢代くんが働いてる店だったなんて!」  驚きと嬉しそうな顔をして甲高い声で話す彼女。中学卒業から16年の月日が経っている。忘れていてもおかしくはないが彼女の見た目もそうだが、こんなにラフに話しかけてくるタイプではなかった。  「こっちだってまさか川窪さんにこんな場所で会うなんて。なぁ、廉!」  「あっ、うん。」  「んーと……西名くんはお父さんの病院で働いてるんでしょ?」  グラスを持ったまま首を傾げて聞いてくる彼女は中学の時とは別人のようで、まだ正直知らない人と話してるような気分。  「えっ?何で知ってんの?」  「だって西名美容外科クリニックって有名で誰だって知ってるよー。西名くんは中学から頭良かったし、医者になるんだろうって思ってた!」  「そうかな」  「実はね私、最近まで看護師で美容外科で働いてたの。あー…ライバルだからあまり言わない方がいいかな?でももう辞めちゃたから大丈夫よね!」  「そうなんだ?僕は別に構わないよ」    思い出話に花を咲かせてるうちに僕等以外の客はいなくなり閉店時間になった。准が外のネオン看板を消し"close"にすると鍵を閉めた。  「じゃ3人で潰れるまで飲みますか!」  「いいのかよ?」  「うん、今日は従業員他にいないし久しぶりの再会なんだからいいんだよ!」  「さすが矢代くん!昔ヤンチャしてただけあってやる事が大胆ね」    それからどうやら二人に乗せられたのか、かなりの量の酒を記憶を無くすくらい飲んだらしい。 お昼過ぎ目が覚めると自分の部屋のベッドに寝ていた。頭がズキズキしてその場から動けない。 お酒は強い方でなかなかこんな事も珍しい。とりあえず今日が休みの日でよかった。  「えーっと、、スマホどこだ?」  ベッドの下に昨日の鞄がそのまま置かれていた。ズキズキする頭に手を添えながらスマホを探した。わずかな残量のスマホのメッセージをチェックする。  "無事に帰れたか?川窪にちゃんとお礼言っとけよ" 准からのメッセージ。あの後自力で帰宅した記憶はない。もしかして彼女が家まで送ってくれた? スクロールし残りのメッセージを開いてみる。  "西名くん。久しぶりに会えてよかった。あの話ホントにいいのかな?また連絡下さい"  彼女からのメッセージだ。"真衣"と名前が表示されていていつのまにか番号交換までしていたらしい。  「、、、あの話……?」  思い出せないがきっと何か約束でもしたのかもしれない。とりあえずお礼も兼ねて電話をかけてみる。呼び出し音一回だけですぐ電話に出た彼女。  「はい」  「あっもしもし。西名だけど――」  

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