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上層部は、神王に、怯え、隠し続けてきた実体を。 目に、入れた頃から? 否、異端天使を『回収』と、始めた話を、耳にした時には、既に、私自身が怯(ひる)んでいた。 あの頃は、幼い子供が居ました。可愛くって、何よりの宝でした。 自分を、差し出す覚悟をしたのも、神皇に、誰との間に、出来た子供かを知られた瞬間(とき)。 ー…えぇ、私は偽善者。 苦しんでいる者を、横目に、自ら、身体を。 献上すると契約した裏切り者。 七大天使の、一人が聞いて呆れる。四大天使とも、呼ばれている男が。 周りを、救うのではなく、自分の子を救う事に、必死で、笑える。 所詮は、魔族と交わり、生まれた『異端天使』ではないか。 何故、神を裏切り、天界を、裏切った。なんて、自分を罵倒した時もあった。 意味は、無かったんですがね。 賎しい大人だと、心の何処かで、思いながらも、無垢な笑みを目にすると洗われるんです。その分、傷みを知っていくのです。 ー…一つの、歯車が、狂い。 消えていった命。 私が、蒔いてしまった種。 せめてもの償いになるのなら、偽善者だけど。 命以て、摘んでいこうかと胸に誓った。 開いていた日記を閉じ。 私は、窓から見える琥珀色に輝く、満月を眺めた。 償いと、一緒に摘んでいきましょう。 ー…運命のプレリュードを。 奏でるのは、遠い昔に。 初めて、恋を覚えた若き頃の、七大天使が一人『ウリエル』。 そう、私自身が、ある男との出逢いから始まった。 淡く、儚い、恋愛…。 当時を、思い返すと、随分、破天荒な部分もあったのだと自嘲してしまいます。 多分、姫の癖が、移ってしまったのでしょうね。 主と従者は、似ると言いますし。 そいゆう風に、例えたら。 姫に、怒られてしまいますね。 ー…私と、彼女は“親友”。 そう、主である姫に、教えられました。

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