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ー天界・エデンの園 慌ただしい数の兵士天使が集められた。ほんの、数分前に、下界へ降りるメンバーが決まった。 「…サキエル、私が下界へ降ります」 「ウリエル…」 兵士天使を纏めていたサキエルは、後ろを振り返る。 風に金糸の髪を靡かせたウリエルが既に、白い制服を着けていた。兵士天使達は彼の煌びやかな美しさに息を飲んだ。 口角を上げて、微笑む表情(かお)は皆を虜にしていくのだった。 「話に聞けば、君より私の方が有利ですからね」 「でも…」 「大丈夫ですよ。どんなに、数千人の魔族でも下級ですし」 優しい笑みを溢しながら、ウリエルはサキエルに言った。 「私に、任せてくれませんか?」 「…解ったよ。君が言うなら、今回だけは譲るよ」 「有り難う」 「ただ、無理してはいけない。僕との約束を守れる?」 半ば呆れた表情をし、彼は言った。一度、言い出したら他人の言葉に、聞く耳を持たないぐらい、ウリエルは責任感が強い。 女の様に、華奢な割には、力もそれなりにある。 全ての属性に適しているのが、彼の凄い所であった。サキエル自身も解っているが、やはり同朋として、親友として心配なのだ。 それを、彼が解っているかは不明だが、今回の事は譲ってやろうと思った。 でなければ、後で、ほだたされる。 どんな敵だったのかと、魔界エリート組が居たのかと。 質問責めされるのは、正直、答えたくない。 僕は、毎回、思うけど。 “ティーベル”三兄弟だと、ややこしくないかい? 特に、長男であるアルザリ卿なんて、人を、蔑ずんでいるし。 思わず、先日の件で、サキエルは、溜め息を、漏らした。 魔界エリート組の中でも、彼等だけには、当たりたくないと、言うくらい、ややこしいのが魔界貴族最高峰の『ティーベル三兄弟』。

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