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その代わりに、サキエルからの約束が、付き物なのは、毎回の事である。
「まず、下級魔族を率いる相手を必ず把握する事!」
「解っています。相変わらず、君は、心配性ですね」
「はぁぁ…」
「無理はしないですし、ちゃんと相手を確認します。他に、何かありますか?」
ウリエルの返答に、小さな溜め息を吐いた。
まだ何かあるのかと、不服そうな顔をする彼を見たサキエルは、肩を落とした。
「…もう、行きなよ」
「えぇ、行ってきます」
それ以上の意見をしたって、聞いてくれないのを彼は知っている。親玉が誰かを把握すれば、ウリエルの性格からして部下に下す命令は『下級魔族だけを全て全滅しなさい』となるだろう。
魔界帝国エリート組の息の根まで止めろと無茶な命令は下さない。
ウリエル自身も彼方の脅威を知っているからだ。どんなに、力を持ち合わせている大天使だろうが、彼等からすれば人間(ひと)と同じ。
面白味があれば、玩具の一種として物珍しい品でしか過ぎない。
「はぁぁっ」
下級魔族が、問題じゃない。
サキエルは、親玉である魔界貴族に注意を払って欲しいと切に願った。自分達とは違う戦闘スタイルのウリエルを初めて瞳に入れる事により、興味を示された場合を考えた。
的は、的中して欲しくない。
出来る事なら、見過ごして欲しいのが、サキエルの願いであった。
彼は“ティーベル三兄弟”以外に、知っているとすれば、歩く、変態紳士で、有名な『シイガ卿』くらいだろう。後、一人、居る。
鳴呼、どうか。
あの人だけには、当たって欲しくないよ。
魔王の右腕である“ゼウダ-卿”に…。
彼だけは、駄目な気がする。
そう、彼の直感が、訴えていた。
ー…あの。
青金色の双眸に、睨まれたら。
蛇に、睨まれた蛙だよ。
だから、謎めいた感じが、漂い、精悍の顔付きが、余計、大人の色気を醸し出す。
正に、脳内から、危険信号が、出ている。
サキエルは、ゼウダ-の巧みな動きを、知っていた。
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