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それは、運命の始まりか。
それとも、必然の始まりか。
軈てなる饗宴に、向けて、奏でるは、ショパンの曲『プレリュード』。
ー…始まりの合図。
『さぁ、開きましょうか』
悲しく、儚い、七大天使の恋の生きざまを。
其処に、生まれるは、愛ある形。
私が、見てきた中で…。
ー…凄く、儚い愛を感じた物語。
今一度、伯父様の口を、封じたく。
私は、剣を握る。
決して、切れる事のない縁を。
共に、結び直しましょう。
伯父様…。
私に、言った言葉を、今、お返しします。
『私は、貴方に、心をあげるつもりはありません』
この、心は、幼い時に、描いた。
ただ…。
ー…一人の男の為だけだと。
私は、あの日に、誓いまいした。
伯父様には、一生、叶わない願い。
『その手で…貴方は、私の宝を殺しました』
運命とは、残酷で…。
必然。
だから、廻るのでしょう。
嘗ての創造神が、作った運命の輪。
ピアノの曲に乗せて、送りたい。
淡い淡い恋の楽曲を…。
二人の運命が廻り始めた時、悲劇も、また、顔を出す。
それは、待ち詫びた様に。
ひっそりと、ゆっくり。
動かしていく。
軽やかな指使いが、一瞬、止まった時。
貴方は、耳にするのでしょう。
天使が…。
堕ちていく瞬間の音を。
それが、罪だとしても…。
囚われてしまったら、逃げる事は、出来ない。
蛇の猛毒の様に、血液に、循環していく。
それは…。
堕ちた者の末路か。
はたまた、其処で、もがいている者の咆哮か。
ー…解るのは。
運命の悪戯をしている神だけだろう。
瞳を閉じれば、広がる世界は、白い花々が咲く、豊かな自然。
それが、創造神『クラエティア』が、創った世界。
『やっぱ、人間居た方が良いよね?サファリア…』
『勝手になさい。貴方が、造る者でしょう?私は、國の秩序を…護れれば、文句は言わないわ』
懐かしき、想い入れの一ページ。
窓から、入る微風に、煽られ、開かれし、ページは、静かに、運命のプレリュードを、鳴らしていく。
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