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※第三章:運命のプレリュード(後編)
突然、雨の雫が頬にあたる。
真っ直ぐと自分を映すエメラルドグリーン色の瞳に見つめられ、心臓が高鳴った。
ミカエルや、ラファエル達にはない綺麗さだと思った。彼の魔族としての欲が出始めていた。
七大天使を犯すとは、どいゆう気分なのか知りたい。
「気が変わった。可愛がってやる」
「なっ…」
「安心するがいい。我は他の輩と違い、優しいぞ」
他の魔族の場合は、エゲつない部分が垣間見られる。罪により、堕ちる場所が決まっており、血色の川は生臭さと異臭さが漂ってるのだ。
助けを求める傲慢な者を眺めていると滑稽に思え、犯した罪で堕され、天界にすら昇れない哀れな者達。
ー…罪は罪で染まっていく。
濃いければ、濃いほど魔族は好む。
醜悪に満ちた味とやらを…。
「魔族は性欲に忠実なんだ」
ゼウダーは口角を上げた。
「そして、貪欲」
己の欲求を満たすだけに数々の人間や天使達を陥れる強引な生き物であり、同時に賢い生き物。
「ー…は、な…し…っ…」
身を捩れば捩る程、キツく手首を縛り上げる鎖が音を鳴らした。
「無駄な足掻きは止しておけ」
再び指を、パチンッとすれば、身に付けていた服が一枚一枚脱がされる。
下界で言うなら『野球拳』みたいな感じだ。
華やかな衣装を纏い、華街で、繰り広げれる娯楽ゲームの一種。ゼウダ-の中では、そう、インプットされていた。
身に纏う衣装は、昔ながらの和の國特徴という花や、鳥を、あしらった和服に、包まれながら、男を楽しませる。
魔界にも、華街はあるが、大抵は、魔女や、下級魔族の集まり。
鼻に、通り抜けていく、臭いが、キツい香水は、一度、嗅いだら忘れない。
自分に似合った物を、付ければ良いものを、なんて、悪態を付いた事がある。
そんな、思い出すら、掻き消してくれそうな男だ。
天界に…。
居るとはな。
彼は、心が、擽られそうになった。
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