22 / 41
3-7
光溢れる中、見えるのは、ステンドグラス。
これは、ウリエルが、神王の娘の専属に、選ばれる日の事だろう。
誰もが、息飲む中…。
緊張のあまり、唾を飲む音すら、気になる。
『では、姫の専属を、発表する』
そんなのは、最初から決まっている。
『ミカエル…。ガブリエル、ハニエル、サキエル、サリエル、ウリエル、そして…』
これは、神々が、愛した神王の娘が、決めた専属。
決して…。
変えられない掟が。
ー…其処に、存在した。
あの時、私は、一つの事に、執着した。
ただ、彼等が…。
綺麗だと、思った。
母様のお仕えする次期七大天使を、自分の専属にしたいと、思った時、初めて、行動に、移してみた。
『母様…。私、七大天使を、専属として欲しいです』
そう、告げた時、母様は、微笑った。
『レイナ、それ、難しいかも知れないよ?それでも、七大天使を、専属に?』
当たり前です。
必ず、自分の手で、七大天使を、専属に。
そんな記憶の中を泳ぐ、貴方は…。
何時も、美しく、清くが、モットー。
私の、ただ一人の親友。
ー…ウリエル。
『お嬢様…』
時折、見せる笑みは、儚く。
『時々、見せる無邪気さは…少女の様な…』
だけど…。
何処までも、綺麗な彼に。
『悪どい彼女に…』
ー…“神の導きが、あります様に”。
『ギリセ様の、お仕置きがあります様に…』
儚い儚い物語に、弾かれるは、運命の曲。
ショパンのデビュー曲『プレリュード』を、奏でる。
軽やかな指使いに、エロチックなメロディー。
鍵盤に、添えられる指が、弾いていく。
フラットを、利かせた部分は、何とも言えない。
まるで、戴冠式の様な、光景さを、思い浮かばせ、緊張の波に、飲まれていく。
豪華絢爛さが、より、引きわ立たせる。
神王に、名前を呼ばれた瞬間の様だ。
ともだちにシェアしよう!