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【ウリエルside】
一度たりと、許した事すらない自身を、彼は口に含む。あまりにも衝撃的で、私は言葉を失う。
何故、そのような部分を、意図も簡単に含めるのだろうか。
「あっ、やぁ…はぁ」
愛撫されていく度に、私ではない声が漏れる。
魔族に堕ちてはいけないのに…。
与えられる快楽が。
その、箍すら外していく。
「だ…めっ…そんな…はや…くしたら」
激しい刺激を、与えられる自身は限界がきていた。しかし、彼は躊躇する事なく口の動きを早くする。
『こいゆうのは、大天使は、経験ないか』
私は、彼の口に出してしまった。
にたりと嗤うと、喉がゴクッと鳴った。
「はぁ…はぁ…きた…な…いのに」
「とても美味だった。ソナタの精液は…」
自然と、言う彼の科白に、私は、沸騰したかの様に、顔が熱くなっていく事に気付く。
シルバーグレー色の髪が、垂れた。
一瞬、ごくりと、飲む。
色気が、溢れ出していて、危ないと、叫んでいる。
この男は、解っていてやっているのか。
その、色気…。
『危ないです』と、言われた事は、無いのだろうか。
脳裏に、エチュードの音(ね)が、流れ始めた。
ちくたくと、時計の針が、秒を刻む様に、ウリエルの心の何かが、鳴り始めたのが解った。
『最初の章。第一小節…』
水鏡から覗いていた何者かが、静かに、口を、開いた。
鳴り始めたものは、止められない。
『神が、交わる時…其処に、美しい光景が、浮かぶそうです…』
一方、大天使の場合は…。
『太陽と、月が、交わる様に、大天使は、月の光を沢山…浴びて、生まれるそうですよ』
彼女が、何時の日か、開いてくれた本に、載っていた気がした。
タイトルは、覚えていないが、綺麗な施しがされていた。
確か、赤ぽっい色だっただろうか。何分、彼女を見るのは、幾年ぶり過ぎて、忘れている様だ。
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