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魔族とは、あっさりし過ぎている。
否、彼だからだろうか。
私が思っていたのとは違いがありすぎて、正直困惑している。
「次は、これを…頂きたい」
「っ…」
青金色の瞳が、熱に、帯びている。
「安心しろ。痛くしたりはしない。寧ろ…逆だ」
「ひゃあ…」
「気持ち良くしてやる。ソナタのここに我のを挿入して、かき混ぜて、乱して…くくくっ」
長い指が、孔を掠る。
思わず、変な声が出てしまった。彼は、クスクスと嗤い、股を開いた。
「ここも…綺麗だ」
「じろじろと……見ないで…下さい…」
「恥ずかしいか?誰にも見せた事のない場所を晒されるのは」
「わ、解って…いるなら…聞かないで…下さ…ぁっ…」
恥ずかしさのあまり足を閉じようとしたら、手で妨げられる。
彼の瞳に、私の完全な息子が、露になる。
『七大天使を、組敷く、悦喜は、堪らなく…そそるものかしら…』
なんて、悠長な声音が…。
脳裏に、響く。
お嬢様…。
覗き見ですか?
『覗き見じゃなく、私は、その奥にある物を見たいだけよ…』
この方、しれっと言っていますが、完全に、覗き見です。
何を、知りたいのかは、解りませんが。こいゆう行為を見ていて、怒られないのだろうか。
『あ、ウリエル…先程の本に関しては、天界に…戻って来たら教えてあげるわ…』
私の記憶の中にある本を、見た訳ですか。
えぇ、それを知りたいのです。
『ユダの福音書』にも、色々…。
載っているじゃないですか。
『イエスもユダも殉教という非業(ひごう)の死を、決して、回避していないと反論している。実際、ユダは、実のところ、最初の殉教者となったのだ。というのは『ユダの福音書』によれば、彼は自殺したのではなく『十二人』の弟子たちに石打ちによって殺害されたのであった』
人間とは、酷な事をする。
師ですら…。
殺すとは、愚行で、浅はか。
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