27 / 41
3-12
花々が、舞い散る中、リオの城は、幸せな空間に包まれていた。
今宵は、神王の娘が、専属を決める日だ。それも、本人直々なのだから、誰もが、息を飲む。
『あれが、神王『ギリセ』と、魔王『セリオン』との間に、生まれた愛娘』
ひそひそと、聞こえる声に、少女は、怪訝な表情をする。
『ですから…皆は、忘れているかも知れませんが…』
『お止めなさない…。レイナ』
『ー…アイリス、お母様…』
『其処は、お母様じゃなく、アイリスと、呼んで欲しいわ。確かに、私も…母親ではあるけど』
少女の脳裏に、話を掛けてきたのは、長い白い髪をした女性だった。
冥界王族『フォルテッシモ』の主である。父親が、何も言わず、母親との契りを許した相手。
そう、少女は、神王と魔王と冥王の血を混ぜて出来た娘だった。
ただ、これは、彼女と両親しか知らない事である。
『しかし、仮にも冥王ですし。母様に、怒られてしまいますわ…』
『大丈夫よ。ギリセは、早々に怒ったりしないわ。レイナ、それは、血が呼び掛けるから、本能的に、解るでしょう』
確かに、彼女が言う様に、母親の事は、解る。
伊達に…。
白き絶対神だった時に、育てた御子ではない。
嘗ての絶対神『クラエティア』の落とし胤。それは、立派に、育ったと思う。
白き絶対神『サファリア』の加護を受けた神王。
そして、彼の兄『クラエル』も、また、クラエティアの子供だった。
誰も、闇には、触れない。触れてしまえば、過去の血塗られた禁忌が、開かれてしまう。
『叔父でありながら、甥でもある『クラエル』。私の加護は、ギリセにしか与えないのは、貴方が…』
既に…。
ー…堕ちているから。
これは、長年と、続いてきた因縁の始まりなの。
鳴り始めている鐘の音を、聞く頃には、貴方は、命の道を削がれている。
ともだちにシェアしよう!