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そう、告げるかの様に。
意識の、波の中へと、溶け込んでいく。
ウリエル、その愛が…。
本物になった時に、私は、きっと。
『貴方を、刺す事が出来ないわ』
その、決断が、運命を変える事になっても、私は、見守る事しか出来ない。
どんなに、殺したい相手が…。
ー…目の前に、居ようと。
静かに、息を潜めていないといけない。
それが…。
歯痒くって、どうしようにもならないくらい辛いのは、解る。
ただ。
時の鐘が鳴る前になったら、開いてみたいと思う。
冥の華を生んだ、母親との約束は、長い年月を経てから、叶えられる。
それまで…。
それまでは、戯曲の鑑賞といきましょうか。
何時か、見た夢の物語が、開かれるわ。
タイトルは『罪と囚』。
この、本を書いたのは…。
七大天使が、一人、ウリエルの落とし胤である御子が、ある人物に頼んで、書いてもらった作品。
何故、タイトルが『罪と囚』なのか。
それは、後からのお楽しみ。
此処に…。
記されるとしたら、愛憎よりも、綺麗で、儚い物語なのでしょうね。
兄様も、一度は、読んでみるべきだわ。
この世の、全てを、敵に回そうとも、一人の男を愛した魔族。
何と、尊く、勇ましい勇姿なのでしょう。
必死になる光景が、浮かんできそうだわ…。
『汝の、尊き行いに、神は、許すでしょう』
これ、ユダの福音書にも書かれてある『創世記』に、加わらないかしら。
大昔、白き絶対神が読んだら『創世記第一節-三章から、勉強とか、アイツは、フザケてるのかしら』と、返ってきそう。
でも、それは、それで、楽しそうかも知れないわ。
今宵のプレデュ-ドは…。
甘い甘いシャンパンで、味わうとしましょう。
そっと、開きかけたページから、貴方達の恋の物語が始まろうとしている。
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