28 / 41

3-13

そう、告げるかの様に。 意識の、波の中へと、溶け込んでいく。 ウリエル、その愛が…。 本物になった時に、私は、きっと。 『貴方を、刺す事が出来ないわ』 その、決断が、運命を変える事になっても、私は、見守る事しか出来ない。 どんなに、殺したい相手が…。 ー…目の前に、居ようと。 静かに、息を潜めていないといけない。 それが…。 歯痒くって、どうしようにもならないくらい辛いのは、解る。 ただ。 時の鐘が鳴る前になったら、開いてみたいと思う。 冥の華を生んだ、母親との約束は、長い年月を経てから、叶えられる。 それまで…。 それまでは、戯曲の鑑賞といきましょうか。 何時か、見た夢の物語が、開かれるわ。 タイトルは『罪と囚』。 この、本を書いたのは…。 七大天使が、一人、ウリエルの落とし胤である御子が、ある人物に頼んで、書いてもらった作品。 何故、タイトルが『罪と囚』なのか。 それは、後からのお楽しみ。 此処に…。 記されるとしたら、愛憎よりも、綺麗で、儚い物語なのでしょうね。 兄様も、一度は、読んでみるべきだわ。 この世の、全てを、敵に回そうとも、一人の男を愛した魔族。 何と、尊く、勇ましい勇姿なのでしょう。 必死になる光景が、浮かんできそうだわ…。 『汝の、尊き行いに、神は、許すでしょう』 これ、ユダの福音書にも書かれてある『創世記』に、加わらないかしら。 大昔、白き絶対神が読んだら『創世記第一節-三章から、勉強とか、アイツは、フザケてるのかしら』と、返ってきそう。 でも、それは、それで、楽しそうかも知れないわ。 今宵のプレデュ-ドは…。 甘い甘いシャンパンで、味わうとしましょう。 そっと、開きかけたページから、貴方達の恋の物語が始まろうとしている。

ともだちにシェアしよう!