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あれから、考えてみたが、やはり、恐怖だった。思わず、身震いをしてしまうウリエル。
支えている主ではあるが…。
「…はぁ」
小さな溜め息をつき、ウリエルはガラスに手を添えた。
天界では、四季折々が、当たり前に起き、天気も変わっていく。しかし、魔界ではどうなのだろうかなんて、悠長な考えが過る。
こんな風に雨も降るのだろうか…。
「って、忘れないといけないのに、私ったら…何、彼が棲む場所の事を気にしているんでしょう…」
長い独り言を言うと、ウリエルは手にしていた本を開き。
軽く、微笑を湛え、彼は、ドアの方に、視線を送った。
「あら、解っていましたの?」
「大抵、この、屋敷に頻繁に通うのは、ラファエル、サキエル、ハニエルだけだからね…」
いつの間にか居た同朋に、ウリエルは、声を掛けた。
魔族の討伐があって以来だろうか。
誰も、口には言わないが、魔王の右腕と、闘った事を意味する物は、感じているのだろう。
例えば、心配して、様子を見に来たハニエル。
「そうね。ウリエルの屋敷に来る相手は、決まっているわね」
「で、姫が、何か、申していましたか?」
「『暇で仕方ながないので、ダンスの相手を探していた所、あら、素晴らしい殿方を見つけたから、ウリエルは…暫く、休むと良いわ』と、言っていたわ。だから、部下が、駆り出されたわ」
「それは、不運と言うのか、幸運と言うのか。姫が、ダンスなんて、珍しい。クラエル様に…嫌がらせですかね…」
嬉しそうに話す女性は、主の突然な思い付きに、感嘆した。
暇が理由で、部下を駆り出されたのに、何故か、清々しく感じた。
許嫁である神王は、彼女にとって、叔父にあたる。
そんな、彼に、嫌がらせをする為だけに、ハニエルの部隊を動かすとすれば、思い当たるのは、アレしかないだろう。
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