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私が知るウリエルは少なくとも…。 優しく、美しく、強く、というよりは。繊細で清い百合の華。 「まぁ、サキエルが言うのなら私の雰囲気が変わったのかも知れません」 「えぇ…」 本当、自分に関しては鈍感なんだから。 誰が見たって気付くわよ。 ローズピンク色のオーラが、周りに漂っているのに、気付かない人なんていないわよ。 不意に頷きながら、ウリエルは開いた本を閉じ。再び視線を窓の外へ向ける。 「…降るなら、もっと激しく降って欲しいものですね」 「…」 何を考えているのかは解らなかった。 ただ言えるのは、窓ガラスに映る彼の瞳に翳りがあった。 私が知らないウリエルを見ている感じが忘れられない。 白き雨の前奏曲が…。 ―…瞳に映される。 それが、凄く印象的だった様な気がする。 これを…。 姫様は、気付いているのだとしたら、意地がお悪い。 部下の妙な変化すらも逃さない主。 『ハニエル、それは、私に対して…暴言ですわ。でも…』 ふんわりとした空気が、流れてくるのが何となく、解った。 今頃、ピアノでも弾いて、此方を覗いていそうですわ。 流石、侮れない。 それでも、支えると、決めた時から私達、七大天使は、姫の専属。 あの、戴冠式の光栄さを忘れたりしない。 皆が…。 息を飲む瞬間、呼吸の音が解るくらいの緊張感が、今でも、残っている。 だから、ウリエルの雰囲気が、凄く、気になるのかも知れない。 憂いっている姿が、何だか、儚く、感じてしまう。 まるで、恋をしている様な…。 ー…想いを。 馳せている感じで。 とても、口では、表しにくい。 私には…。 無かったモノが、其処に、存在している。 サキエルに、恋をした時…。 感じたかしら? 思わず、頭を、傾げたくなる。 反芻をしてみるが、甦る記憶の中には、残っていなかった。 私には、無く、ウリエルにあるモノかも知れないと、思ったから、深く、考えるのを、止めた。

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