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ー天界・リオの城・レイナの部屋 微風に吹かれるレースのカーテン。 目映い、光が、射し込む中、少女は、温かな雰囲気に包まれていた。 部下の変化が、何だか、もどかしくも感じながら、嬉しい感じもしたのだ。 「儚く散る感じがしないのは、ウリエルの懐の厚さかしら」 脳内に流れてくる音律を、楽譜に並べてみる。 「素敵な音が、奏でられるかしら。ふふふっ」 思わず、笑みが、溢れた。 だって…。 ウリエルに、春が来るなんて。 「恋愛に関しては、告白されても、フル確率が、高くって。お見合いも、設けたけど、相手側が、気絶しちゃって、お見合いどころじゃ無かったのを覚えているわ」 母様も、唖然となさったとか。 自分の後に、ウリエルを、付かせようと、考えていたら、まさかの気絶者が増えて、お見合い禁止にした。 それは、無理でしょう。 ギリセ…。 彼を、誰の子だと思っているの? 嘗ては、魔界帝国の王族ですら、目を付けていた“カリュエル”の息子。 それを、神王候補だからって、お見合いを設けて、玉砕者増やすとか、天界において初。 それだけなら、元老連中も、五月蝿く、言わない。 問題は…。 「私の相手を、ウリエルにしようとしている母様の目論みですわ。でも、クラエル伯父様は…許さないでしょう。爪が長いお方ですもの。幼き日に、許嫁として付いた、自分の方が上だと…自覚している人ですよ」 そう、彼女の許嫁が、深く、関わっている事だ。 今は、亡き前神王『ギリセ』の兄、現神王『クラエル』。 『母様ぁ…?』 『“クラエティア”』 随分、昔には、もう、呼ばせなくなった彼の本名。 決して、レイナは、口にしなかった。嘗て、天界を、創造した絶対神『クラェティア』。 彼には、落とし胤が二人居た。 それが…。 亡くなった前神王『ギリセ』と、現神王『クラエル』。 ー…本名を、知った日には。 野に、晒された屍になる。 それくらい、彼にとって本名が、大事。

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