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5-2
「確か、何回かラファエルと戦った事があったよな?ソナタは」
青銀色の双眸が、キラキラと輝いている。屋敷に来た目的が何となく解ってしまった自分は思わず短い溜め息を吐いた。
なるほど…。
あの潔癖仮面男が、シイガの嗜虐心を擽った訳か。
「あぁ…」
「で、どんな感じだった!」
否、どんな感じだったと言われてもな。
気が強いだけの若造にしか過ぎない。あくまで我にしては。
「自分で確かめてみるのが良い。我に聞いたとしても、何の役にも立たない。一番は自分自身で確かめるのが、解るだろう…」
それに、我はラファエルに興味ない。
今、興味あるのは…。
―…ウリエルだけ。
「そうだな」
座っていたかと思えば、立ち上がり…。
「帰るとする」
勝手に来て、勝手に帰るなんて。
シイガらしいと言えば、シイガらしい。
我が、口を開く前に彼の姿は消えていた。
七大天使が一人『ラファエル』。
『神の癒し』とか『神の薬』などと謳われている熾天使(セラフィム)の一人だとも言われており、また、力天使(バチャ-ズ)の長とも言われている。
管轄は…。
堕天使を幽閉する第二天『ラキア』。
確か、古書には、そう、記されていた。
『下界には、こいゆう曲も、流行っているみたいですよ』
モチーフが、凄く、印象的だった気がする。
下界探索している時に、見つけた物だと言っていたが、どうやって流すのか解らず、そのまま保管されている代物。
イメージは、正に、天界で、収納されているのが堕天使というのが、素晴らしく、想像力を湧かせる。
「あれは、我に対しての嫌がらせか。亡き妻の末路を、辿れと?」
無理だろう。
我が、怒りで、殺した女の末路を辿っても。
『ゼウダ-様は、何故、私を抱く度に、醜いお顔をなさるのですか…』
ソナタの体に付く、キツい香水の匂いが鼻に付くからだ。
どんな、男を、たぶらかせたい。そんな、顔にも似合わないマダムが付けそうな香水を付けて。
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