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亡き妻の事を忘れる為に、再び、ウリエルの事を考える。 『貴方以外は全て抹消させてもらい…ます』 『我を見逃すのか?大天使ともあろう者が…』 『私は大天使です。早々に見逃したりは致しません。しかし、この件に関しては、私の至らなさが招いた事。魔族には、魔族の自尊心がある様に、大天使には、大天使としての自尊心があります』 『ふふふふ、ははははっ!!!面白い。良かろう…今回は譲ってやる。だが、勘違いするな?我はソナタの自尊心に折れてやるだけだ…』 ウリエルは言葉通りに我以外の者を抹消した。 情事の時は乱れていたというのに…。 『それと…こいゆう事は一回限りです』 淡白な発言が口から出るなんて。 益々、気に入った。 我を驚愕させる者など世界を探しても一人だけ。 彼だけでいい…。 その、美しさに包まれていたいと思うのも、初めての経験だ。 数々、抱いてきたが、飽きを感じてしまう毎日。 魔族なりの特性が、発生するのは、今回が初なんじゃないだろうかと思うぐらい麗しい大天使に、逢った気がする。 他の、宝石ですら、あんな輝きを放つ事は無い。 我の中で生まれる“独占欲”。 心、奥底で、黒い塊が生まれる瞬間を体験したのは、彼だからだろうか。 これを、逃せば、次は無いと、言わんばかりに、男としての自尊心が、投げ掛けてくる。 ー…何と、心地好い訴えだ。 壮大なオーケストラが、ステージを開きそうな雄大な気持ちにさせるのも、また、酔狂。 今宵あたりは、バッハだろうか。 力強い迫力感…。 広がる草原が、出現しそうなイメージだ。 指揮者(タクト)が、垂らす汗で感じる緊張感が迫る中、棒が、緩やかに動く瞬間に。 生まれる何かが、我には、解らなかった。 甘い甘い誘惑の味か、深い闇に堕ちていく、罪の味か。

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