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雨のメロディーが聞こえるだろうか。 これは、始まりの始まり。 開けば…。 其処は、暗闇の中に眠る者が、息を潜めて、待っている。 『それは…混沌の闇に、眠る者』 ひっそりと、息を殺しながら、まだかと。 ー…待っているのは。 既に、形が無い者。 この世に、災いをもたらす禍々しい男であり。 全ての元凶とも言える根源だろう。 華々しい世界にやって来た招かざれる者だと。 解っていたのに。 双子の弟は、快く、受け入れた。 ー…悲劇の始まりは、今、落とされた。 『“クラエティア”』 その名が、口にされた時…。 目覚めるのは。 ー…“ベルゼ”。 花、歌う世界は、綺麗過ぎて、少し、生きた心地はしないかしら。 でも…。 貴方は、目覚めるのでしょう。 軋む音を耳にしながら。 嘗て、異母弟が、実験材料として選んだ被験者。 ギリセの兄『クラエティア』を、倒すべく。 鐘を、鳴らし始める。 その音は、天界全部に広がる事でしょう。 “サファリア”が、長年と掛けてきた時間を費やし、甥である彼を、欺く為に、考えたゲーム。 それを、始めてしまえば、後には引けない。 『彼の中に巣食う蛆虫』 ー…ユリウカ。 尚も、安息の地に、闇を掛けようとしている男。 壊したくって、仕方ない愚か者。 その衝動は、段々と、潤う事なく、渇いてくる。 そう、告げる様に、嘗ての絶対神は、静かに、目を瞑った。 ー…時の中を。 生きると、決めた彼女は、運命が廻るその日まで、ひっそりと、眉唾を飲む勢いで、気を落ち着かせるのであった。 誰かが、犠牲になってしまうのは嫌だ。 しかし…。 狂い始めた歯車を、戻す事など、出来ない。 私が、彼と出逢った時…。 過去の大罪も、開かれてしまうのだろう。 誰かが気付く前に、根絶やしにする事も考えたが。 やはり…。 ベルゼ、貴方が、終止符を打つのに相応しい。 ー…幾度と。 姿、形が変わろうと、変えられない宿命に購う気にもなれない。 そんな臆病になったのかと、貴方の兄に、笑われそうね。

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