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第六章: 白薔薇の炎は、貴方を想い尽かす
ー天界・エデンの城・執務室
「まったく…」
眉間に皺を寄せて、仁王立ちをしているのはウリエルだった。
床に正座させられているのは、ウリエルと同じ七大天使であり、七大天使の長『ミカエル』だ。
「私が休んでいたのは、別に、悔しかったからじゃありませんよ。どの辺を、聞き間違えたのか解りませんが、ゼウダー卿に関しては、今後私が関わる必要性が無いと判断したのです。一度、交えれば解りますしね。それを、ミカエル…」
「…ぅっっ」
「『ゼウダー卿にこっぴどく交わされて、ウリエルも悔しい思いがおありでしょう。ですから、彼が城に来た時はゼウダー卿の話は禁句ですよ』って、部下達に言い聞かせる上司が何処にいるんですか!お陰で朝方大変だったんですからね…」
ぴくぴくと、眉を動かすウリエル。
不機嫌な声が、執務室に響き渡った。見ないフリをしていたガブリエルとサリエルがミカエルに視線を向ける。
これは、彼の昔からの癖で、悪気が無いのは厄介だと自覚している同朋達は、思わず呆れてしまう。
七大天使の長という立場ながら、失態プラスに、地雷を次々と、踏んでしまうのは、何故だろうか。無論、ウリエルが、怒るのも解る。
要領が悪い訳じゃないが、彼は自爆するタイプだ。
そう、考えたら、言いたくなる。
「ねぇ、ミカエル、君は、少し…大袈裟過ぎるんだよ」
若干、苛立ちを隠し切れないサキエル。
何時もながら、不運な立ち回りとか思ってはいたが、此処まで来たら、天晴れだ。
私生活だと、勘違いしてないだろうかという言葉が出て来そうで、飲み込む。
知っているよ。
ルシファーを亡くしてから、必死に、頑張っているミカエルを。
だけど、今回の件は違うだろう。
頭を抱えたくなるが、此処は、ウリエルの言葉を待つ、サキエル。
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