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なんて、考えていたら。
ウリエルは、白い羽根を広げ、執務室の窓から出て行った。
「ヤバくないですか?ミカエルさん」
「…うっ」
「あれ以上の事を、言わないで出ていく、ウリエルなんて見たの初めてだ」
普段ならもう少し言葉を付け足すウリエルが、あれ以上の事を言わないで、出て行くのが珍しかったらしく、ガブリエルが瞳を大きく開いた。
ここ最近で、侯爵が、二人も天界にお出ましで、忘れる所だったけど。
「ねぇ、ハニエル」
「ん?」
「今日も、雨が降りそうだね」
「あら…」
ミカエルから視線を逸らし、僕はハニエルに言った。
晴れていた空が段々と曇っていく。
まるで…。
何か起きそうな。
予兆の様に… 。
「ウリエル大丈夫かしら?」
曇っていく空を見て、ハニエルが首を傾げ、言う。
「後で様子を伺いに行こう」
「そうね…」
頭を撫でると、彼女はにっこり笑んだのであった。
そうと決まれば…。
「さぁ、ミカエル!仕事だよ。何時まで、そんな所で正座しているんですか。仕事は山ほどあるんですよ!猫の手を借りたいぐらいに」
「サキエルの、鬼ぃぃぃぃ!!!」
「貴方を甘えかすのは、貴方の旦那だけで十分です。僕達は甘えかしませんよ」
鬼で結構。
ミカエルを甘えかすなどしたくない。
でなければ、雷が落ちる。
優秀な部下は、皆、察知するんだ。
ウリエルの雷は、痛恨の一撃だと…。
それに、ミカエルを甘えかすのは、旦那である彼の特権だっただろう。
君の娘が、呆れるくらいに、甘々だった筈。
何が、原因なんて、知ってはいるが、誰も口にしない。クラエル様は、上層部を動かしながら、とんでもない事を始めているに違いない。
だけど、僕達では、意見を言えないのを理解しているつもりだ。
姫が、玉座に立つ、その日まで、ひっそりと七大天使は、業務をこなすだけ。
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