45 / 52

6-3

なんて、考えていたら。 ウリエルは、白い羽根を広げ、執務室の窓から出て行った。 「ヤバくないですか?ミカエルさん」 「…うっ」 「あれ以上の事を、言わないで出ていく、ウリエルなんて見たの初めてだ」 普段ならもう少し言葉を付け足すウリエルが、あれ以上の事を言わないで、出て行くのが珍しかったらしく、ガブリエルが瞳を大きく開いた。 ここ最近で、侯爵が、二人も天界にお出ましで、忘れる所だったけど。 「ねぇ、ハニエル」 「ん?」 「今日も、雨が降りそうだね」 「あら…」 ミカエルから視線を逸らし、僕はハニエルに言った。 晴れていた空が段々と曇っていく。 まるで…。 何か起きそうな。 予兆の様に… 。 「ウリエル大丈夫かしら?」 曇っていく空を見て、ハニエルが首を傾げ、言う。 「後で様子を伺いに行こう」 「そうね…」 頭を撫でると、彼女はにっこり笑んだのであった。 そうと決まれば…。 「さぁ、ミカエル!仕事だよ。何時まで、そんな所で正座しているんですか。仕事は山ほどあるんですよ!猫の手を借りたいぐらいに」 「サキエルの、鬼ぃぃぃぃ!!!」 「貴方を甘えかすのは、貴方の旦那だけで十分です。僕達は甘えかしませんよ」 鬼で結構。 ミカエルを甘えかすなどしたくない。 でなければ、雷が落ちる。 優秀な部下は、皆、察知するんだ。 ウリエルの雷は、痛恨の一撃だと…。 それに、ミカエルを甘えかすのは、旦那である彼の特権だっただろう。 君の娘が、呆れるくらいに、甘々だった筈。 何が、原因なんて、知ってはいるが、誰も口にしない。クラエル様は、上層部を動かしながら、とんでもない事を始めているに違いない。 だけど、僕達では、意見を言えないのを理解しているつもりだ。 姫が、玉座に立つ、その日まで、ひっそりと七大天使は、業務をこなすだけ。
0
いいね
0
萌えた
0
切ない
0
エロい
0
尊い
リアクションとは?
コメント

ともだちにシェアしよう!