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【レイナside】
眉間に皺を寄せ、炎を消そうとしたウリエル。
『―…消えない。何で』
消えることのない炎に疑問を抱きながらも。不気味で妖しい青白さに美しいと思ってしまったのだろう。
溜め息を吐きながら頭を掻く仕草。
例えるなら、この炎はゼウダー卿の瞳と同じ。青色で不気味な感じが何とも似ている。
時折、金色に見えてしまうのもそのせいだろう。
炎事態がゼウダー卿の瞳と捉えるべき。
冷たくも、熱い。
―…青金色。
『白薔薇の炎は、彼を思い描かす様です。非常に困りました…はぁぁ』
その姿が、哀愁漂う感じがして、痛々しい。
「消えないのは無理もないわ。魔族が操る炎は、特別…」
独り言を呟き、花瓶に挿した白薔薇を置いたまま彼が雨の中の庭園を歩いて行ったのを確認した私は、炎を見つめた。
何とも妖しく、熱い情熱を感じる炎なのだろう。諸説にしか記されてはいないが、魔界帝国の貴族『プリゾ』は、操る炎が特殊らしい。
父様や兄様ですら操れないわね。
少なからず、セリオンは、無理だわ。
「あれは、プリゾの血筋ならではなのかしら…」
鳴呼…。
嘗て、聞いておくべきだったわね。
「白き絶対神『サファリア』ですら、驚きだわ。青い炎を操る魔族が居るとは…」
だから、面白い。
彼は、如何なる技を使って、ウリエルを堕とすのかしら。
見物と言えば、見物。けど、彼は、私の部下だ。
易々と、渡す訳にもいかない。
ー…魔王の右腕、ゼウダ-卿。
何時か、お逢い出来るのを楽しみにしています。
彼が、動くまで…。
「見初めたのは良いけど、見初められるのかしら。ウリエルに…」
専属の部下だけあって、一筋縄でいかないのは解っている。
どういゆう風に、彼の心を手に入れるのか、賭けをしようと思います。
ウリエルが堕ちるか、はたまた、堕ちないかを。中々の、遊戯だと、私は、心から感謝していますわ。
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