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第16話  地下室の奴隷たち~地獄のスレイブショー①~※

 赤い緞帳の先にあったのは、半円形のステージだった。  ステージの後ろ側にある、2メートル四方ほどの正方形のスクリーン。  天井からぶら下がった、吊り下げ用の滑車と鎖。  丸テーブルに用意された、クスコやローションや鞭、エネマグラなどの責め道具。  やがて、まぶしいほどのステージライトに照らされた舞台に、ピエロのお面を被ったタキシード姿の男が姿を現した。  が――客が注目したのは、ピエロ男ではなく、鎖でつながれ四つん這いで登場した性奴隷だった。  奴隷は、黒い麻袋で顔を隠されていた。  鋲のついた黒い首輪の真ん中にある大きな鈴。  乳首をクリップで穿つニップルチェーンの先にも、金色の小さな鈴がふたつ並んでぶら下がっている。  尻穴から垂れた、黒いふさふさしたしっぽ。  バイブ機能がついているのだろう、ブブブブッ……という音が尻のあいだから漏れる。  チンポと玉袋をまとめて縛ったコックリングからつながった鎖を引かれ、ステージの中央に這い出た奴隷は、「ストップ!」といわれ、ピンッと止まった。 「お待たせしました。本日のスレイブショーの獲物は、こちらの駄犬でございます」    胸に手をあて、仰々しく挨拶した進行役のピエロは、床に両手と頭をこすりつけ這いつくばる奴隷の尻を蹴り上げ、 「紳士のみなさまにケツを振ってご挨拶しろ」  と命じる。 「ワッ……ワンッ……!」  麻袋のなかから答える奴隷。  犬のときは犬語しか話せないのが、奴隷のルールだった。  犬奴隷は、這いつくばったまま、客に向けた尻を大きく天井に突きあげた。  フェイクファーのしっぽのついたバイブをぱっくり咥え込んだアナルと、むっちりとした弾力のある若々しい尻が、スポットライトを受けて白く照らしだされる。   「このしっぽは、こうして動かすこともできます」  ピエロがバイブのスイッチを入れると、アナルの中のバイブがウィンウィンと作動し、フェイクファーのフサフサが揺れた。  その動きに合わせ、奴隷は尻を左右に振る。 「もっと大きく振るんだ!」  鞭を持ってきたピエロに尻を打たれ、「ゥッ……ウゥーッ……ンッ……!」と跳ね上がり、クネクネと腰を揺らし、尻を上下左右にプルプル大きく動かす。 「みなさまにお会いできて、この駄犬もたいへん喜んでおります」  パッとスイッチの入ったスクリーンにドアップになる、奴隷の必死なケツ振りダンス。  客たちはその映像を見ながら、「このケツは、どの奴隷だったでしょうな」など、のんきな会話を交わす。 「では次は――「チンチン」!」  ピエロの命令に、慌てて前を向いた奴隷は、グーにした手を胸の前まで持ち上げ、足をM字に開いて立ち上がった。  股のあいだで拘束されながらピンと勃ちあがったチンポが、客の面前にさらされる。 「ただ突っ立ってるやつがあるか。しっかりチンチンを振ってご挨拶しろ!」  ふたたび鞭が飛び、「ヒィッ……!」と飛び上がった奴隷は、 「はっ……アッ……クンッ……クゥーンッ……!」  と切なげな声をあげながら、握りしめた手を上下に動かしたり、うさぎのようにピョンピョン飛び跳ねたりした。  チリンチリンと音を立てる、首輪とニップルの鈴。ぷるんっ、ぷるんっ、と情けなく揺れるチンポ。  そのとき、客席から、 「その犬の顔を見せろ!」  という声が飛んだ。   「……承知いたしました」  そろそろ頃合いだと思っていたのだろう。  ピエロは、奴隷の頭を覆っていた麻袋をつかみ、 「今日のスレイブショーの主役は――この奴隷です!」  ガバッとその袋を投げ捨てた。    瞬間、スクリーンに、奴隷の顔が大映しになる。  黒いフェイクファーの獣耳。  涙に濡れた大きな目と、ヒクヒクと動く、筋の通ったかたちのいい鼻梁。  けんめいに舌を突き出した、赤い煽情的な唇。  右目の下にある印象的な泣きぼくろ。  ――――その奴隷の正体は、椿だった。  ……この紳士クラブの入っているビルのショバ代は、丹下組に納められていた。  最近売り上げが落ちていることをオーナーから聞いていた銀は、組での調教を終えた椿を、このクラブに送り込んだ。  それから一カ月が過ぎ――。  類まれな美貌と、どんなサディストをも満足させる天性の奴隷気質を兼ね備えた椿は、あっというまにクラブのトップ奴隷となっていた。  椿の顔が映し出されたとたん、客席から、おおっというどよめきが起こる。 「やっぱり、この子か!」 「昨日もおとといもちがう子だったから、今日こそはと思って来てみましたが――大当たりだ」 「ラッキーでしたな。こんなにきれいでいじめがいのあるスレイブは、なかなかいませんから」  ――スレイブショー用の奴隷は、全部で3人。  人気投票のTOP3が、ショーの主役を務める。  その日のショーの出演者が誰かは、事前には明らかにされない。  いま現在、一番人気のスレイブは、椿で――そのため、椿がショーに出そうな日は客の入りが増え、今日のようにあっというまに満員になった。  麻袋を被っていたためか、椿の顔は、耳まで真っ赤になっていた。  汗が、濡れて額に貼りついた前髪からこめかみをツウッと伝い落ちる。  赤い舌を突き出し、ハァハァと息を荒くした椿は、 「……ハッ……アッ……ンッ……! アンッ、アンッ、アンッ……!」  顎の下まで、グーの手を持ち上げ、スポットライトを浴びながら、ステージの中央でちんちんのポーズを続けていた。 「せっかくだから近くで見てもらえ。ほら、とっとと歩くんだ!」 「くぅ――……ンッ……!」  チンポにつながった鎖を思いきり引かれた椿は、バランスを崩して床にひっくり返った。  チンポを引きずられ、ステージの先端まで連れていかれると、目の前のテーブル客に向かい、ふたたびちんちんポーズをとらされる。 「フッ……ウッ……わんっ――ワンッ……! ワンッ……!」 「近くで見るとすごいガマン汁が光ってますな」 「しっぽまでよく見えますよ。――……でもせっかくだから、ケツ穴が見たいな。それを取ってくれないか」 「承知しました」  ピエロが、椿のアナルのしっぽをズボッと外し、M字開脚させる。  とたん、客の面前に、バイブで拡張されていた尻穴がパカァッと晒される。  その穴が、スクリーンにアップになると、客席からどっと笑い声が生まれる。 「ははっ、まるで蛸壺みたいな穴ですな。キュウキュウ閉じたりひらいたりしてやがる」 「梅干しみたいな皺まで丸見えだ」 「犬の肛門はでかいですからな。この子はこないだ、顔に似合わないデカいクソを脱糞ショーで漏らしたじゃないですか」  客の嘲笑に、大股開きのちんちんポーズをとったまま、椿は涙をこらえる。  スレイブショーは本当に過酷で――スレイブは、2、3日ステージにたてないほどのダメージを負うこともある。  紳士クラブの最大のイベントであるショーは、過激であればあるほど、客を集めることができるため、毎回趣向をこらした鬼畜な内容になっていた。  さらにそのショーの主役が、椿のような美少年であることは、紳士たちにとっては、最高のごちそうなのだ。 「何をしている。続けろ」  ピエロの命令に、はっと我に返った椿は、 「……うっ……クゥッ……! ウゥッ――わんっ……! ワンワンッ……!」  丸見えになった尻穴をヒクヒクさせながら、ハァハァと舌を突き出し、チンポを振って、無様な「ちんちん」回りをした。  すべてのテーブルの客に芸を披露し終えたときには、全身汗まみれになっていた。  「よし、戻れ」    チンポの鎖を引かれ、息も絶え絶えに、這って、ステージの中央に戻る。   「腹を見せて、股をひらけ。「ゴローン」して、お客様にだらしないケツ穴をしっかり見てもらうんだ」 「クゥー……ンッ……」  握りしめたこぶしを胸の上に置いたまま、ごろん、と床に寝そべる。  腹を見せたそのポーズは、無防備な――絶対服従の証明だった。 「見てください。このケツ穴。しっぽがなくてさみしい~って泣いてるみたいでしょう?」  椿の両足首をまとめてつかみ、ぐるんっ、とまんぐり返しさせたピエロは、革手袋を嵌めた指を、椿のアナルにズチュッ、と入れる。 「ほら、聞こえますか? グチュグチュおマンコから汁があふれてきてる。もう、とろとろスケベマンコの準備はばっちりです」  スクリーンに映し出された、指マン映像。  穴の隙き間から、トローリと漏れるローション混じりのスケベ汁に、客たちは釘付けになる。    そのとき、客席から、 「犯せ!」  という声が響いた。 「そのスケベマンコをズタズタにしてやれ!」 「あんあん泣きわめくところを見せろ!」 「そうだ! 早く()れ!」  ……スレイブショーの最大の人気は、クラブで禁止されている「本番」行為が、ステージで見られるということだった。  犯すのは客ではない。  客は、スレイブの美少年が犯され、泣き叫ぶ姿を生で見て、楽しむのだ。そのレイプショーは、残酷であればあるほどいい……。 「もちろんです」  マスクの下でピエロはにっこりと笑う。 「では、そろそろいきましょうか」  地獄のスレイブショーの「本番」がはじまった……。           

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