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第36話 奴隷犬※
「……はっ……あぁっ……!」
「うわっ、すっげぇ汗! 床が汚れるじゃねぇか!」
――それからしばらくして。
ようやく室内に戻ることをゆるされ、アヒル歩きでサンルームにヒョコヒョコ入ってきた椿に、弟の司は声を荒げる。
乳首から伸びたワイヤーにつながれた手枷を頭の後ろで組まされ、電動ブジ―のぶっ刺さったチンポからソフトボール大の2個の鉄球、アナルから腸詰ソーセージをプラプラぶら下げた無様な姿の椿は、
「おっ……! もっ――! 申し訳ありませんっ……!」
滝のように流れ落ちる汗をどうすることもできないまま、
「あ……お部屋に入れていただき……ありがとうございました……」
兄弟に向かい、深々と頭を下げた。
サンルームは、ガンガンに効いた冷房で冷えきっていた。
一面ガラス張りの掃き出し窓の窓辺に並べられた、パキラやモンステラなど観葉植物の鉢。
ハイブランドの黒いステレオスピーカー。
L字の白いソファの前に置かれた、南国リゾート風の籐脚のガラステーブル。
ソファの横には、ビーチサイドにあるようなデッキチェアがふたつ、並べられている。
サンルームの奥にあるリビングの冷蔵庫からコーラの瓶を持ってきた司は、
「ったく。ションベンだまりみたいになってるじゃねぇか」
椿の股の下にできた、水たまりのような汗に舌打ちし、
「汗が引くまでマットの上にいろ。スクワットポーズやめんじゃねーぞ」
と命じる。
「は……はい……」
サンルームの入り口にある、コルクのドアマットまでピョコピョコと戻った椿は、頭の後ろで手を組んだガニ股スクワットポーズをとりながら、司が飲んでいるコーラを穴が空くほどに凝視した。
(……の……飲みたい……)
1時間半。炎天下を意味もなく歩かされ、死ぬほど喉が渇いていた。
(せ……せめて水でもいいから……飲みたい……)
犬のようにハァハァしながら、コーラを見つめていると、
「……なんだよ」
ソファに座っていた司が、椿をギロッと睨んだ。
「あっ…………」
気を悪くさせてはいけない、と慌てて下を向く。
「飲みたいんじゃね?」
――と、兄の統 。
「あの暑さでずっと外にいたんだ。熱中症にでもなったら面倒くさいぜ」
「――しかたねぇな」
立ち上がった司はリビングに向かった。
――もしかして、何か飲ませてもらえるのかもしれない。
椿の胸に、一縷 の希望が生まれる。
――椿の伯父、三浦 薫 の自宅は、都内の高級住宅街の高台の上にあった。
地下室と地上二階建ての本宅は、3つの寝室、ビリヤードのできる遊戯室、シアタールーム、図書室、パーティーが開けるほど広大なリビングルームなど全部で10部屋以上ある豪勢な住まいだった。
薫と統と司の三人は、普段は本宅の自分の部屋で暮らしていた。
薫は、兄弟が産まれてすぐ離婚した。
以来、家事と育児はすべて、通いの家政婦とシッターが行っていた。
週末ごとに、高級レストランのシェフを呼び寄せ、イタリアン、中華、寿司などに舌鼓を打つこともあった。
一方、椿は、本宅から中庭を挟んで建てられた、平屋建ての小さな別宅で暮らしていた。
別宅は、通いの家政婦も立ち入ることができない。
もとは、薫の死んだ母が趣味で作らせた茶室の庵 だったものを、椿が来たあと、洋風に建て直したものだった。
別宅は、兄弟が幼いころ遊んだ広大な芝生の庭に面していた。
高台にあるため、裸で庭に放りだしても近所に見つかることもない。
14歳で三浦家に引き取られてからずっと、椿は、この別宅で、性の道具にされていた。
2年前、兄弟が揃ってイギリスに留学してからも、休みで帰省するたび奴隷のように扱われた。
自分たちが留学しているあいだ、闇ルートを使って椿を売春させてくれと父の薫にお願いしたのも兄弟だ。
『おれたちがいないあいだ、こんなスケベなおまんこが空きっぱなしじゃもったいないだろ』
その売春で殺人事件に巻き込まれるとはよもや予想してもいなかったが――
丹下組と紳士クラブでの性奴隷調教を経て、より色気を増して戻ってきた椿は、夏休みで日本に帰国した兄弟にとって、いたぶりがいのある格好の獲物だった。
――2つ口のIHコンロと冷蔵庫のあるミニキッチン。
白い無垢材のフローリングに置かれた、ソファとダイニングテーブル。
背の高い天井からは、大きなシーリングファンが涼やかな音を立てて回っている。
洒落た南国風リゾートのようなリビングの一角にある犬用ケージのなかには、ボロボロに汚れた毛布と、犬用のトイレがあった。
ケージの横に置かれたペット用シーツの袋と、ステンレスのエサ入れ。
エサ入れの近くに転がっていたハンディタイプの給水器に水道の水を入れて戻ってきた司は、
「ほらよ」
椿の目の前にウォーターボトルを突き付ける。
真ん中のボタンを押すことで、上部分のペットボトルに入った水をシャベル型のウォーターカップに送り込むそれは、犬の散歩用の水飲み器だった。
「いつもみたいにちんちんポーズでチンポプルプルさせて飲みな」
「はっ……はいっ……! ありがとうございますぅっ……!」
手枷を外された手をグーにし、胸の前に持ってきた椿は、大股開きで伸び上がり、鉄球のぶら下がったチンポをプラプラ揺らそうとする。
(……うっ……ぐうぅぅっ……!)
鉄球の重みでうまくチンポが揺らせず、脂汗を浮かべる椿の前で、司は給水器をわざと高い位置に持っていく。
「ほらほら。ここまでジャンプしないと届かないぞぉ?」
「あっ……!? あぁっ……!?」
鼻先にあったカップをかわされ、「うっ! ううっ!」とちんちんポーズのまま、けんめいにジャンプする。
チリンチリン、と鳴るニップルリングの鈴。
へコへコ動く腰の動きに合わせてぶつかり合う鉄球。
「ははっ。必死すぎんだろ!」
飛び上がり、舌を突き出し水を飲もうとする椿を司は鼻で笑う。
「もっとジャンプしろ、この奴隷犬! そんなに飲みたいならクンクン鳴いてみせな!」
「くっ……くぅっ……! ……クゥゥゥ~~ンッ……!」
犬のように鼻を鳴らし、チンポを揺らしながら飛び上がる。
やっとのことでウォーターカップに舌が付き、ピチャピチャ音を立てながら、夢中で水を飲む。
ペットボトル半分ほど飲んだところで、「もういいだろ」とボトルを取り上げられ、「ウッ……」と固まりながらも、
「お……お水を飲ませていただき……ほんとうにありがとうございました……」
ちんちんポーズのまま、礼を言う。
「嬉しいときはどうするんだ? 忘れたのか?」
「あっ……!」
慌ててで四つん這いのポーズをとり、その場で3回ぐるぐる回ってから、脚を大きく開いてつま先立ちになり、
「ワッ、ワンッ! ワッ、ワン~ッ!」
舌を突き出し、グーにした両手を左右に振る。
「ははっ、よく躾 たな。もうすっかり犬じゃん」
ソファに横たわったまま笑う統。
「よし行くぞクソ犬。動画撮影の前にションベンさせてやる」
首輪に鎖を付けられて引かれ、ヒョコヒョコ情けないアヒル歩きでリビングに向かう。
犬用ケージの前に来ると、犬用トイレのシートから発酵したようなアンモニア臭が漂ってきた。
「うっ、くっせえな。もしかして朝ションベンしたあとシーツ替えなかったのか?」
「あっ……」
さっと血の気が引く。
「てめえのクソとションベンは自分で始末しろと教えただろ!」
ドカッと頭を蹴られ、
「ヒイッ! ごっ、ごめんなさいッ!」
と床に頭をこすりつける。
たとえ、他の用事を命じられ、替える時間がなかったのだとしても――そんな言い訳がゆるされるわけなかった。
「いっ、いますぐ替えますからっ……」
濡れたシーツを剥がし、クルクル丸めて、ケージに括り付けてあったダストボックスに入れる。
新しいペット用シーツを敷き、和式便所でクソをするように跨ぐと、
「ど、どうか、ケツマンコ奴隷カメに……ションベンする許可を与えてくださいませ……」
震えながらお願いする。
許可なしでは絶対排泄できない。
それが、兄弟が家にいるときの決まりだった。
「ふん。仕方ねえな」
司が、チンポの紐を取り、二つの鉄球を取り除く。
「あ、ありがとうございます……」
膝裏に手を回し、大きく股を開いた椿はペコペコ頭を下げる。
次はきっとブジーを取ってもらえる。
そう思った矢先――
「電流流しながらションベンさせてやるよ」
「えっ……?」
顔を上げるより早く、チンポのブジーに電流を流され、
「うっ、ごっ! おっ! おおおおお――――っっ!」
と絶叫する。
「アニキ、尿道拡張器持ってきて」
「OK」
「うっ……! ぐっ! おっ! おっ! いっ、痛いっ!」
尿道に嘴を入れ、クスコのように開いて固定するステンレスの器具でパックリ開かれた椿の亀頭。
「ははっ、こいつの短小チンポくらいなら入るんじゃねえの、この穴」
「よし、MAXで通してみようぜ」
「ヒッ! イイッ! チッ、チンポいだいッ! しっ、死ぬっ! ビッ、ビリビリいだいよおッ!」
「うるせーぞ、カメ」
「犬のくせにしゃべんじゃねーよ」
前立腺までつながったブジーの振動が膀胱に伝わり、先ほど夢中で飲んだ水がジリジリせり上がってくる。
「ぐほぅっ! おっ、おしっこでるッ! もっ! でまひゅう~!」
チンポを貫く電流にけいれんしながら、ジャーッと勢いよく放尿する。
電流に触れた尿がバチバチと弾け、
「うっ! あっ! アアッ! アッ! ヘッ! オッ! ほおうっ!」
ビリビリ感電する亀頭に、鼻水を飛び散らす。
「ははっ! すげー笑える」
「ションベンで感電してやがんの。マジウケるな」
(も……お……し、死ぬう……)
力尽きた椿は、自分の尿を吸い取ったペットシーツの上にバタンと倒れ込む。
「おい、何休んでるんだ!」
革ベルトで背中を打たれ、ビクン! ビクン! と跳ね上がるソーセージを咥え込んだ尻。
電流の流れ続けるチンポから、チョロチョロと残りカスのような小便がこぼれ落ちていった。
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