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第24話

 小敏(しょうびん)の強引さに、救いを求めるように腕を伸ばす優木(ゆうき)だが、小敏は許すつもりは無いらしく、ねっとりと舌を絡め、腰を揺すり、優木を(あお)りながら、自身の熱も高めていく。  さすがに息苦しく、一度小敏が唇を離した隙に、優木は必死になって言った。 「…風呂に入ろうか」 「うん!」  目を輝かせる小敏に頷いて、優木は小敏をどかせると、ソファを立ち上がり、バスタブにお湯を入れに行った。  お湯を溜め、小敏が好きなジャスミンの香りがする入浴剤を入れ、支度を整えていた優木が振り返ると、そこにはすでに一糸まとわぬ小敏が立っていた。  その裸体の美しさに優木は見惚れてしまい、動きを忘れた。  白い肌、長い手足、程よい筋肉は付いているものの、まるで少年のようにしなやかで、伸びやかで美しい。この魅惑的な肉体が、どれほど妖しく濃艶に男を誘うのか、優木はよく知っている。 「来てよ…、優木さん」  小敏がその手を差し出すと、優木は立ち上がった。それをにこやかに見つめ、小敏は優木の服を脱がせ始めた。 「シャオ…ミン…」  ヨレヨレのスウェットの下から優木の素肌が現れると、小敏は自分の物だと確かめるように口づけをする。その上、時々舌で舐め上げ、優木を刺激してソノ気にさせようとする。  全裸の2人は、絡み合うようにしてバスタブに身を浸した。  優木が下になり、ゆったりと湯船に浸かると、そのカラダに乗り上げるようにして小敏が座った。 「あははっ」  上から優木を見下ろしながら、小敏は楽しそうに、優木のあまりオシャレとは言えないメガネをソッと取り上げた。次にスポンジに手を伸ばし、ボディソープを泡立てると、泡を指先に取って優木の鼻先にチョンとつけて、無邪気に笑った。 「もう。まだまだ子供だな、シャオミンは」 「本当に、そう思う?」  優木の言い分を否定するように、小敏はセクシーな目つきになった。  ここで、いつものようにデレデレするかと思われた優木だったが、なぜか今夜は急に真顔になった。 「ああ。子供だろ?父親とのこと、俺に話すこともできないんだから…」 「!…優木さん…」  人の良さそうな笑顔がトレードマークの優木だが、今夜は真面目な顔で小敏の様子を見ている。 「あ…あの…」  小敏にとって、父親への複雑な感情はトラウマのようになっていて、小敏が何を見て、何を感じて、今、どう思っているかは、誰も知らない。 「俺はね、小敏がお父さんとどんな仲だろうが、関係ない。俺が好きなのは小敏であって、お父さんじゃないからね」  温かく、包み込むような笑顔の優木に、小敏は胸のつかえを話してしまえるのは、この人しかないかもしれないと思った。

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