fujossyは18歳以上の方を対象とした、無料のBL作品投稿サイトです。
私は18歳以上です
説好不哭 ~泣かないと約束したから~【上海前編】 第26話 | 荷蓮花の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
説好不哭 ~泣かないと約束...
第26話
作者:
荷蓮花
ビューワー設定
26 / 69
第26話
唐煜瑾
(
とう・いくきん
)
は、その夜、担当していたクライアントのショップが開店することが決まった、プレオープンの内輪のパーティに出席していた。 前回の、日系のセレクトショップのインテリアデザイナーとしての仕事が成功したことで、今回も日系のショップから指名され、ようやく一人前に仕事が出来るようになってきた煜瑾である。 知人が少ないパーティー会場で、気が付くと、煜瑾は1人になっていた。 それでも、以前のように動じることは無く、最初に配られた美味しい赤ワインを、いつまでも少しずつ舐めては、落ち着いた様子で周囲を嬉しそうに見回していた。 「ねえ、君が唐煜瑾でしょう?」 その時、背後から声を掛けられ、煜瑾は「唐家の至宝」らしい、優雅な仕草で振り返った。 そこにいたのは、見知らぬ男性だったが、スラリと華奢で背が高く、女性と見まがうほどの柔和な美貌だった。煜瑾の少年っぽさの残る美しさとはまた違う、清楚でありながらどこか妖艶さもある、不思議な人だった。 「初めまして、唐煜瑾。私は
宋暁
(
そう・しょう
)
。
包文維
(
ほう・ぶんい
)
の友達だよ」 恋人である文維の友達と言われ、煜瑾はすぐに笑顔になって、差し出された手を握り返した。 「初めまして、宋暁さん。私は唐煜瑾です。文維のお友達なのですか。どうぞよろしくお願いします」 素直な煜瑾に、宋暁青年はちょっと顔を歪めたが、すぐに取り繕ったような笑顔を浮かべた。 「今は君が、文維と付き合っているんだって?」 煜瑾より少し背の高い宋暁は、まさに見下すように言うが、その嫌味な口調が、本物の貴公子である煜瑾には通じないことを宋暁は知らなかった。 「そうなのです。文維から聞かれたのですか?」 無邪気に微笑みながら言われ、宋暁は一瞬たじろいでしまう。 このリアクションはさすがに宋暁も想定外だった。こんな態度が取れるのは、よほど厚かましいか、本当に天使かどちらかしかない。 「ま、まあね」 一旦動揺を収めようと、宋暁は手にしたシャンパングラスを空けた。 何となくやりにくさを感じた宋暁は、本題に入ることにした。 「ところで…、包文維とのセックスは最高でしょう?少なくとも私の時は、そうだったけどね」 そう言ってニヤリとした宋暁に、ここで初めて煜瑾は、決して宋暁が好意的に近付いて来たのではないのだと気付いた。 「以前に、文維とお付き合いがあったのですか?」 煜瑾は、少し訝しむように宋暁に訊ねた。
前へ
26 / 69
次へ
ともだちにシェアしよう!
ツイート
荷蓮花
ログイン
しおり一覧