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第16話

その後一緒にお風呂に入ろうと誘われたが、頑として断り、じゃあせめて一緒に寝ようと言われ、そのまま強引にベッドに押し込まれた。 外はまだ雪が降っていて、体の芯まで冷えてしまいそうな寒さを理由につけ、清盛は悠を抱きしめて放さなかった。 温かいけれど、シングルのベッドに男二人は狭すぎる。 「いいじゃん、お前細いし可愛いから」 「可愛いは関係ないだろっ」 最大の譲歩案で、後ろから抱きつく形で寝ているのだが、清盛は一向に寝る気配がない。 それどころか、悠の髪を撫でたり、手探りで鼻を摘んだりしてきて、悠が眠るのを邪魔してるようだ。 「何なんだ、さっきから」 あまりにしつこいので思わず振り向くと、暗い室内でも綺麗な清盛の目とぶつかった。 そこにはいつもと違う光をたたえていて、どきりとする。 「…………ん」 その目が近付いたと思ったら、優しく唇を吸われていた。 チュッと音がして、初めて聞く音に、恥ずかしくて顔が熱くなる。 何度も何度もそんなキスが交わされ、悠の唇が痺れてきた頃、清盛はいつの間にか悠の身体の上にいた。 「なぁ、こういうキスとか、それ以上のキスとか、していい?」 それ以上のキスって何があるんだ、という悠の疑問は、発せられることはなかった。 大きな手のひらで頬を撫でられ、今更ながら酷く緊張していることに気付く。 「震えてる……寒い?」 言葉は優しいけれど、目は完全にぎらついていて、怖くて首をかろうじて横に振ることしかできなかった。 また顔が近付いたときには舌で唇を舐められ、ビクリ、と身体が跳ねる。 前にも感じた、背筋が震える感覚、それを人から与えられるなんて思いもしなかった。 「ほら、やっぱ俺我慢できないや。悠、抱いていい?」 こればかりは強引にするわけにはいかないから、と清盛は耳朶を舐める。 その生温かい感触が、ゾクゾクと背筋を強張らせた。 その後やけに身体が熱くなって、息が上がってるのに気付く。 「な? いいだろ? 返事しねぇと、俺やめないよ?」 「あ……っ」 今度は首筋をツッと舐められ、思わず声を上げた。 それは普段自分が出す声よりも高く掠れていて、信じられない、と口を塞ぐ。 しかし、駄目、と清盛に優しくどかされ、その手をキュッと握ってくれた。 「悠はそのままで良いから。力抜いて、されるままになってて」 経験のない悠を気遣って、清盛はひたすら優しかった。 まずは肌が出ているところにキスを落とし、悠が感じるところを探る。 額、頬、唇、首筋とキスは下りていって、最後は軽く歯を立てられ、ビクン、と身体が震える。 「キヨ、キヨ……暑い……」 布団に入った時は寒かったのに、今は全部脱いでしまいたいほど暑い。 この身体の変化に戸惑いながらも、この行為は嫌ではなかった。 「うん、悠の身体、すごく熱い。覚えといて、これが感じてるってことだよ」 そう言って、清盛は悠の服の中に手を滑り込ませた。 汗でしっとりした肌の上を、清盛の大きな手が滑っていく。 それだけでゾクゾクして、甘い吐息が出てきてしまう。 捲り上げるようにして上半身の服を脱がされ、清盛が一瞬息を飲んだ。 「…………どうした?」 荒い息がおさまらないまま尋ねると、彼は苦しそうな顔をしながら、またキスをしてきた。 その息がとても熱くて、それにつられたのか悠の身体はさらに熱くなる。 「あーもう、ヤバイ……。悠、今ならまだ止められるから、嫌だったら言って」 普段なら考えられないほど気を遣っている清盛に、彼の本気を汲み取った。 ちゃんと返事しなきゃ、と口を開けたら、その下唇を親指でなぞられる。 「ん……バカ、喋れない、だろ?」 「だって、悠の肌気持ちいいんだもん」 白くてすべすべしてて、とあちこちを撫で、くすぐったさに身を捩る。 そのときに太腿の内側も撫でられて、ゾクリと肌が粟立った。 下半身はまだズボンに覆われているが、熱を持っているのは知られてしまったようだ。 しかし清盛はそれをからかったりせず、嬉しそうに笑うだけだ。 再びふにふにと悠の唇で遊び、腰を押し付けてきた。 「……っ」 悠と同じように熱くなったそこは、布越しでも硬くなっているのが分かる。 触り方が遊ぶようになっているのは、どうしても不安がってしまう悠の、気を紛らわすためだと思った。 すると、突然清盛が熱くなった部分を悠のそこに擦りつけてきた。一定のリズムで腰を動かす清盛は、切なそうに息を吐く。 「あ、あっ、や……っ」 自分ですらそこに触ることがない悠は、与えられる刺激を敏感に感じ取ってしまう。 「ま、待って、キヨっ」 このままではすぐに達してしまいそうだった悠は、慌てて清盛にしがみついた。 それを勘違いしたらしい彼は、動きを止めて、心配そうに顔を覗く。 「嫌だったか? 悪い」 「違うっ、……その、キヨのすること、全部、嫌じゃないから……だから」 切れ切れの息でそう言うと、清盛は何も言わず自分のスウェットを脱ぎだした。 下着一枚になると、今度は悠のズボンも脱がしにかかる。 「えっ? ちょ、やだっ」 上半身裸になっているだけでも恥ずかしいのに、これ以上脱がされたら死んじゃいそうだ。 しかも、下着一枚残してくれるかと思っていたのに、清盛は全部脱がそうとしている。 しかし、悠の抵抗もむなしく、するりと全て脱がされ、慌てて脚を閉じ、手で隠す。 「あーもう、エロい恰好しやがって」 「な、何だよそれっ」 自分で脱がせたくせに、嬉しそうに悠を眺める清盛こそ、悠の身体をさらに熱くさせる身体をしていた。 しなやかな筋肉が付いた腕、綺麗に盛り上がった胸板、いうまでもなく腹筋も割れていて、筋肉の「き」の字もない悠とは正反対だ。 サッカーで鍛えた身体とはいえ、一年のブランクがあっても維持しているのは、さすがだと思う。 「悠の場合、ここもすごくエロいんだよな」 「あっ、んんっ」 清盛は悠の胸の先をそれぞれ摘むと、軽く捏ねる。 腰に電流が走ったような刺激が走り、頭の奥が痺れた。 「あっ、あぁっ、キヨ、やだ、やだぁ……っ」 自分の意思とは関係なく身体が震え、この快感から逃れようとする。 そこを触られるだけで、手の中の悠が、ひくひくと反応するのが分かった。 こんなの知らない、と悠は首を振る。 しつこくそこを口でもいじめ始めた清盛は、ギュッと握りこんでいた悠自身を、悠の手ごと刺激した。 足を突っ張り、腰を浮かせると、逆に触ってと言っているようで恥ずかしい。 しかし、今の悠にはそんな余裕はなかった。 強すぎる刺激に翻弄され、胸から溢れた何かが、涙となって出てきた。 「ひ、や……っ、あっ」 「やっべぇ……可愛い、悠……」 清盛に苛められた胸の突起は、摩擦と興奮で綺麗な桜色になっていた。 白く柔らかい肌に栄えるその色は、清盛の興奮を誘う。 そんな余裕のない清盛の声にも触発されて、悠はすぐに限界を迎えた。 「あっ、あっ、どうしよっ、キヨ……出ちゃう……っ」 一際高い声で喘ぐ悠は、今まで知らなかった感覚に戸惑いながら、清盛に助けを求める。 涙が目尻から零れて、それを清盛が舌で拭った瞬間。 「ああっ! やぁ、あああっ!」 一瞬視界も脳内も真っ白になったかと思うと、一際大きく身体が震えた。 胸や顔にまで精液が飛び、その放出はすぐには終わらなかった。 「ああ、あ……、ん……っ」 余韻に身体を震わせていると、だんだん感覚が戻ってくる。 酸欠でボーっとする頭を動かすと、クラクラした。 「悠、大丈夫?」 心配する清盛の声がどこか遠くで聞こえる。 だが、様子がおかしいのに気付いたのだろう、いきなりは無理だったか、と拗ねたように呟いている。 返事ができずにいると、額に軽くキスされた。 何か言わなければ、と思うけれど、言葉が出てこない。 「ああ、いいよ。そのうち最後までさせてくれれば」 悠には言葉の意味が分からなかったけど、清盛が何かを譲ってくれているのは分かった。 こんな大人な面もあったんだなぁ、と思うと、愛しさが込上げてくる。 「キヨ……」 「ん?」 「…………好き」 意識がなくなる瞬間、そんなようなことを言ったような気がしたが、満ち足りた気分だったのは確かだ。 そのあと清盛が、やっぱ襲ってやろうか、と悶えたのは言うまでもない。

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