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モブ:総長は尊敬してますが正直きついっすね

総長のところのモブ視点。  総長は格好良くて強くてすごい。  みんなの憧れと言っていい総長の悪いところはただ一つだ。  男の趣味だ。     「……あっ、あっ、きもち、いいっ!! イイ、から! やめっ、おく、あぁっ」      喘ぎ声は女と聞き間違うものじゃない。  悪の大将と呼ばれている地元でも有名な不良。  総長の相手は鍛えられた体を持った男だ。    食事が一気にまずくなったが総長は総長なので俺たちは逆らうことができない。  寿司を食べながら総長に抱かれている男の姿を撮影する。  俺たちの知らないところで終わらせてほしいが総長命令なので逆らえない。  カメラというか俺たちの前で乱れまくる悪の大将に遠い目になる。  早くこの時間が終わらないだろうか。    総長がゲイだというのは驚きだが、まだそこは個人の趣味でやりすごせる。  惚れた相手があの最強扱いされている不良。  悪の大将の名に恥じない強さを持っているあの男が総長にあんあん言わされているのを俺たちはカメラに記録しないとならない。脅し用だとか言っているが確実にコレクター用だ。  総長はストーカーをしている。  無害で純粋なストーカーだが今ではそれも過去のことだ。  こんなことになったのは「オレたちの総長があんなのに負けるわけがない」そんなことを言ったやつが悪いに決まってる。  総長は優しいから積極的に人を殴りに行ったりしないが興味を持ってしまった。  あんなことを誰も言わなければ総長とあいつは顔を合わせることなんかなかった。  ストーカー行為に俺たちも協力するように命令されたときは絶望しかなかった。  俺たちの嘆きを誰かわかってくれ。    せめて、あいつが男と付き合うなんてことをしなければ総長も影から見守るだけで終わったはずだ。  俺たちも寿司を食いながらゲイポルノの撮影に協力しなくてもよかった。  総長は男を好きになったとはいえ相手に好きになってもらおうと思っていなかったらしい。  好きなだけでいいという気持ちでいる純情を持ち合わせていた。    ストーカーではあったが相手に働きかけたりしない。  粘着質に付け回して日々の行動を記録するだけ。  ごみを漁ったり郵便物などを確認するのは俺たちの仕事だった。  総長が喜んでくれるので異常だと思いながら俺たちも慣れてきたのでそこまで苦じゃない。  そんな時間はあの悪の大将はぶち壊した。    男を恋愛対象にするわけじゃないと思い込んでいた総長は衝撃を受けてたまり場にしていた廃工場を燃やした。  精神的に病んだような総長を元気づけるために俺たちは禁断の一言を口にしてしまった。   『好きなら奪えばいいっすよ』    ストーカーだって褒められたものじゃないが本人に見ていることを教えるタイプのストーカーじゃないなら無害だ。  そう、俺たちの総長は無害な純粋なストーカーであって実力行使をする人じゃない。  けしかけたのは俺たちだ。  だから、協力し続けないといけないのかもしれない。    でも、総長は尊敬してますが正直きつい。  だって全然、悪の大将と地味で普通のやつが別れる気配がない。  寿司を食べながら映像にブレがないか確認する。  総長が未来を夢見ていそうなのが救われない。    ベッドに横たわって息を吐いているのは男で綺麗さもかわいさもないのに艶っぽさはある。  視線が合ったと思ったら舌なめずりをした。思わず無視していた自分の股間に視線が向く。    まずい、まずい。  俺はゲイじゃないし、デカい男なんて冗談じゃない。  体力が有り余っているのか総長たちはまたヤリはじめた。  視線がチラチラと俺に向けられる。  カメラを見ているのだと思い込みたいが俺に総長とのセックスを見せつけているように感じる。  喘ぎながら弾むように上下に動いた。  総長に命令されて自分で胸を揉んでいる姿を俺に見せつける。  騎乗位で悦んでいるはしたない表情。  それは俺の視線で感じているんじゃないだろうか。    やっぱり地元を牛耳る悪の大将は魔性ってことなんだろうか。  俺たちの総長をセフレにした上に外側にいるはずの俺たちすら誘ってくる。 ---------------------------------------------------------------------- 総長は尊敬してますが正直きついっすね。この光景は、いろんな意味で。

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