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そして:マゾ奴隷のしつけ方1

 あのことがあってからも彼氏とは学校関係なく毎日会っているし、順調だ。  これが一番意外なことだったが彼氏はオレのことを好きだった。  過去形じゃなく現在進行形で愛してくれている。    最悪な惚気だと思うがオレほど恋人に愛されている人間もいない。  生活はとても充実している。        彼氏が総長に拉致られてオレが脅されながら犯された日。  総長との初体験が何時間に及んでいるのか正確には把握していない。  何度か気を失って食事や水分を補給した気がする。  風呂場で綺麗にされながらまた中出しされて汚されたりを繰り返した。    気づいたときには彼氏もそれを捕まえていた総長の部下たちもいなくなっていた。  彼氏の安否よりも更なる被虐を求めてオレは総長に彼氏のことを尋ねたりした。  邪魔だから適当に帰したと言われたがあまり信じられるものでもない。  実は近くでオレの声を聞かせるという見せつけプレイをしているんじゃないかと想像して興奮した。  総長は見かけ通りなのか嘘をつかないタイプのようで彼氏が近くにいないのはすぐに分かった。    ただ彼氏の話題を口に出すたびに総長が殴ってきたりオレに何かを要求してくるので適度に気にした発言をするようにした。    これっきりかもしれないと心のどこかで思っていた。  総長がオレに手を出してきたのは彼氏のことがあったからだ。  彼氏がいてくれたおかげでオレは総長に犯された。    自分の長年感じていた肉の欲望、それを満足させる最高のシチュエーション。  幸運は何度もあるものじゃない。  一瞬の奇跡だと思っていたので総長との関係はあの日だけで終わると思っていた。  現実はオレに優しくて今もまだ呼び出されているわけだが、それもこれも彼氏あってのことだろう。      あの日、オレは自分の足で歩いて家に戻ってきたのか総長に送り届けられたのかは覚えていない。  ただ、動くのも億劫だと思っても喉はかわくしお腹がすくのでコンビニに行こうと外に出た。  いつから待っていたのか玄関から少し行ったところに彼氏がいた。  オレを気遣うようなうかがう表情に安心した。  いつも通りの彼氏はオレと総長のセックスとか暴力がトラウマになってはいない。    彼氏を最大限利用しているとはいえ彼はオレにとって彼氏であり愛情はともかく愛着はあった。  自分の性癖を理解してもらえないとしても普通に話せる相手として友達になってくれるなら嬉しいと考えていた。  罰ゲームとはいえそれなりに一緒に過ごして愛着のある相手から非難や侮蔑はほしくない。  マゾ的には彼氏の豹変にドキドキするところだが友情にドキドキはいらないだろう。    コンビニで飲み物を買って飲みながらオレは彼氏の家に向かった。  歩いていけるほどの距離に彼氏の家があるのは知らなかった。  ちゃんとこれからのことを話さないといけない。  彼氏が罰ゲームのせいで言えないのだとしても今のままではいられないだろう。  オレのとなりでいつも通りすこしおどおどしている彼氏に微笑ましい気分になった。  周りをきょろきょろと見渡す彼氏の小動物さを羨ましいとは思わない。  体が頑丈じゃないと何時間もプレイはできない。これは間違いない。  総長の体力には彼氏は絶対についていけない。今までの自分が無駄ではなかったのだと誇らしい気持ちになる。    そして、彼氏の家の玄関で事件は起こった。    事件というよりも分岐点なのかもしれない。  オレはそのとき倒れこんだら起き上がれない、そのぐらい疲れ切っていた。  犯されつくされて、昏々と眠りにつきたいほどに体力は消耗している。  幸いに切れ痔になっていないし総長が薬を塗ってくれたのか尻そのものに痛みはない。  変な体勢でいたためにちょっとした節々の痛みや虚脱感があるだけだ。  鍛えていて本当に良かった。    靴をゆっくりと脱ぐオレに事故なのか彼氏の肩が当たる。  彼氏も彼氏でコンビニで買い物をしていたので靴が脱ぎにくかったのかもしれない。  体勢を崩したオレは玄関の棚部分をとっさに掴んだ。  だが、自分の体重を支えきれずに棚の上に置かれた布を引っ張りながら転んでひざをついてしまった。  どうせ転ぶのなら手なんか動かさなければよかったのだ。    ガラスが割れるような音が聞こえて血の気が引いた。    玄関の棚にはガラスの置物が小さいものから大きなものまでいろいろと置いてあった。  以前、彼氏の趣味がクリスタルやガラス細工集めだと聞いた覚えがある。  綺麗なものが好きなんだろうとオレは彼氏のレベルの高さに恐れ入っていた。    布を引っ張ったことで布の上に置かれたオブジェは床に落ちた。  どう言い訳したとしてもオレのせいだ。  オレが犯人だ。    すぐに謝ればあんなことにはならなかったのかもしれない。  それともどんな言葉も彼氏の耳には届きはしないのか。  今となってはわからない。    結論だけ先に告げてしまうと彼氏は総長よりも怖かった。  人は言葉だけで他人を切り刻むことができるのだ。

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