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#9
「…アリスさんが美味いっつって食ってくれる飯しか作りたくないんで無理っすね」
たまには顔を真っ赤にして慌てるアリスさんを見てみたいと思う。
だからこうして少し恥ずかしい事も言ってみる。
振り回されっぱなしじゃ悔しいから。
「…急に……格好いいこと言うのは狡い」
「これでも一応αなんで?」
俯くアリスさんの髪を掬って耳にかけた。
ゾクリと頭が熱くなる、バニラのそれとは違うアリスさんの匂いが鼻を掠めて
あ、やばい──。
そう思った時にはもう、
俺もアリスさんも手遅れだった。
「…健太君の、ばか……。
狡いよ、我慢させたの…健太君のくせに」
俺の手に自分の指を絡め、
胸から足までをぴったり俺に密着させるアリスさんの中心は、
もう既にその膨らみがわかるまでになっていて、
俺の方も…言わずと知れている。
「あんたも十分狡いからね。
…そう言うところ」
あぁ。
これだ。
俺の求めているもの。
先ほどの苦痛の中での行為とは比べ物にならない。
全身が、俺の中の全てが、アリスさんを求める。
ごく自然な流れで俺のスウェットのズボンに手を入れてくるのは、
やっぱり何処か嫉妬のような感情に苛まれるが
こればかりは仕方ない。
もとを辿ればアリスさんがその類の仕事をしていたから
俺達が出会えて、結ばれたわけなのだから。
「…ふふ、おっきい」
「……しょうがないでしょう」
しょうがない。
…アリスさんなんだから。
アリスさんに触れられて
平気でいられるわけがない。
「…ベッド行きます?」
返事なんてわかり切っているのに、
形だけでも聞いておくのは
ほんの少しでもアリスさんを無理させたくないからで。
「ううん、ここでいい…早く…っ」
1秒でも早く、
俺を求めて欲しいからだ。
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