53 / 63

#35

二本の指でかき回されて、それがバラバラに動くうちに 時折かすめる一点が 酷く、気持ち良い。 「はぁ…そんなに良いの? さっきから締めすぎ…指痛えよ」 「ぅん…いい…すごい、気持ち良い…っ」 挑発じみた言葉も出来なくなるほどに。 すると、高い位置にあった獣の顔は スッと足元まで降りてきて 「?!う、そ…ちょ、健太君っやめ…っンン!」 健太君の舌が 濡れそぼった俺のモノにぴとりと触れた。 熱くて、柔らかくて 俺の形に沿うように、滑らかに。 独特の舌のざらつきと、じわりじわりと迫り来る快感に頭が混乱する。 はむ…と先端を唇で覆われ、 いちいち傘に引っ掛けながら咥えて、出しての繰り返し。 次いで後ろを弄る指の動きも再開されて 背筋を走る痺れは無意識に腰を浮き上がらせる。 抵抗なんて、もう出来たもんじゃなかった。 「一緒は…ダメ、だってぇ……健太くぅ…んっ」 「ジュル…ッ、なんで?気持ちよくないの?」 口を離し、それでも今にも触れそうな距離で声を出されれば 息が、かかって。 ビクンと震える、脈打つ俺の昂りを見て 健太君はフッと微かに笑う。 嘘を言ったところでお見通しだ。 「ひ、ぁ……あっ、や…気持ち、すぎて……っムリ!」 ナカで蠢く指が、再び前立腺を引っ掻いたと同時に 一際大きく腰が揺れ、勢いのままに欲を放った。 何度かにわけて、溜まった熱を出しきると 少しだけ身体が楽になる。 発情していた分だけ麻痺していたらしい脳内は ようやくまともに働き始めて 射精後のだるさを纏いつつ、うっすらと目を開けた。 ……あっ、 「え、えと……ごめ、ごめんっ」 健太君の顔や、首元 あと半分脱げたような乱れた服の間から見える胸元に惜しげも無く飛び散っているのは、俺の───。 「まだ挿れてもねぇのに勝手にイッて…挙げ句顔射ですか…」 「あ、ぅ……」 妙に落ち着いてしまった俺とは反対に 健太君の匂いはより一層濃くなって 頰に飛んだ白濁を、赤い舌がペロリと舐め取り 開かれたままの脚の間に健太君が割って入る。 「まさかとは思いますけど…間違っても今ので終わるなんて思ってませんよね?」 健太君の大きく反ったものが蕾の辺りをヌルッと擦って 早く欲しいとでも言うように、俺の身体は疼くばかり。 「お…終わんない、けどっ。…少し休ませッあ、ああぁ…っ」 俺の返事も聞かないうちに とてつもない異物感と合わせて押し込まれる熱。 「俺にこんだけ匂いぶちまけて休ませろとか。 …ほんとどうしようもないですね」 「んア、い゛…っ!ふぅ…ぁ…っ」 のし掛かる健太君の体重がずっしりと俺を圧迫する。 俺より、熱くて どく、どくと心臓の打つ音は俺よりも早い。 目の前の綺麗な顔立ちのそこかしこに飛んだ白い汚れを見ると 何とも言い難い優越感を覚えた。 「あ、はっ…全部俺の、だね…っ」 俺を見るための瞳 俺の匂いを嗅ぐための鼻 俺の名を呼んで、キスするための唇 どこもかしこも全部 健太君の全部が 俺の、俺だけのもの。

ともだちにシェアしよう!